❖照明器具の劣化による安定器の寿命

安定器にも寿命があるのはご存知でしょうか?

長年使用した照明器具は外見では判断がつかないほど劣化が進行しています。

特に危険なのは安定器です。安定器は器具内に設置されている為、外見からは劣化具合がわかりません。
ひどい場合は絶縁劣化によって発煙事故にもなりかねません。安全対策のために器具内部の安定器や電源装置、配線の点検や、修繕など古くなった照明器具は交換しましょう。

照明器具に以下のような症状が現れたら安定器の交換のサインです。

最近よく故障する。

ランプの交換頻度が増えている。

焦げ臭いにおいがする。

清掃しても汚れが落ちない。

ソケットが変色している

JIS規格(日本工業規格)では照明器具の交換目安は10年としています。
8年~10年経過した照明器具は点検し、10年以上が過ぎたものは故障の頻度も上がるためLEDなどの高効率照明器具に交換しましょう。15年以上経過している場合は早急な交換をするべきです。

❖照明器具の寿命と適正な交換時期

照明器具の寿命は10年~15年とされています。設置する場所でも寿命は大きく変わってきます。

例えば軒下など屋外で使用する場合は雨風などの影響を受けるため劣化のスピードも速くなります。
屋内でも工場などオイルミスト、粉塵、水気などある環境では劣化の進行が早まります。オフィスなど雨風の影響を受けない環境と比べると照明器具の寿命は大きく違ってきます。

使用時間が年間3,000時間の事務所、工場(一般)、店舗などの場合、使用条件によっても交換の目安は大きく変わります。

電源電圧が定格で周囲温度が30度~40度では5年~10年が目安とされています。電源電圧が105%を超え周囲温度が30度~40度では3.5年~7年が交換目安とされています。

電源電圧が105%を超えるものや周囲温度が40度を超える環境、裏面にガラスウールなど断熱性の材料を使った状況、1日10時間以上の点灯など環境や使い方で大きく寿命が短くなってしまいます。

❖安定器の劣化を判断する方法

安定器は器具の内部にあるため外見上では劣化度合いを確認することができません。
使用限界を超えた安定器は内部の巻き線やコンデンサが劣化し、

異音や発熱、発煙によってランプのチラつきといった症状を起こす恐れがあります。

このような症状が見られたら安定器の寿命が近いかもしれません。その場合は点検もしくは交換したほうが良いでしょう。

磁器回路式の安定器を使用している蛍光灯(FL・FLR蛍光灯)や水銀灯は周囲温度や供給電圧が適正でなければ安定器の寿命を短くする原因となります。

インバーター式(FHF蛍光灯)には電子安定器が使用されていますが磁器回路式と同様の原因によって安定器の寿命を短くします。

環境によって安定器の寿命は変わりますが平均して10年程度となるでしょう。

❖PCB使用の照明器具(安定器)の正しい処理方法

昭和47年以前に製造された安定器にはPCBを使用したものがあります。

PCBとはポリ塩化ビフェニルのことで昭和28年ころから製造された合成油のことです。このPCBには毒性があり、
環境汚染が社会問題化した昭和47年以降は製造がなくなりました。またPCBには電気絶縁性、不燃性などの特性もあり、安定器など電化製品に幅広く使用されていました。

PCB使用の照明器具は蛍光灯器具、水銀灯器具、低圧ナトリウム灯器具があり昭和32年1月~昭和47年8月までに製造されたものです。

もしPCBの照明器具を使用していた場合は専門の許可を得た処理場での処分が必要になります。そのため通常のマニフェストを発光している処分会社では対応ができないケースがほとんどです。

まずPCBの器具を使用していた場合は自治体へ届け出し中間貯蔵、環境安全事業株式会社に処理申込・登録が必要になります。PCBを含まない場合は各自治体のルールに従って産業廃棄物として処分することになります。

・処分の責任分担について

テナントに入っている店舗がLED化するケースでは基本的にはビルオーナーの責任で対応されることになりますが、テナントが入居した後にテナントの資産として自ら設置した照明がPCB安定器を有す場合にはテナントの責任となるでご注意ください。

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