LED照明の普及に伴って、店舗や事業所など公共施設でのリニューアルが進んでいます。現在主流となっているのは照明器具ごと入れ替える「照明器具交換工事」と、既存器具はそのままでランプのみ交換する「バイパス工事」の2通りです。
果たしてどちらに将来性やメリットがあるのか?詳しく解説していきます。
柔軟性に優れた新設照明器具
国内大手照明メーカーが多く市販しているタイプですが、従来灯具の大きさとほぼ同じでリニューアルに適しており、なおかつベース形状とランプの組み合わせを選べる点が優れています。
外観をすっきりとまとめた「LED一体型ベース照明」が主流を占めています。
形状に違和感がない
逆富士形・トラフ形・反射笠・天井埋め込みなど、既存灯具の寸法や形状に合わせたベースが選べますし、ベースに取り付けるライトバーはカマボコ状のため、見た目がすっきりとしています。
明るさや光色が思いのまま
天井が高くて明るさが欲しい場所には、FHF32高出力タイプのライトバーが選択できますし、廊下などさほど気にしない場所ではコストメリットのあるライトバーが適しています。また調光機能を持つタイプもラインナップされています。
光色は、昼白色や昼光色・電球色などが選択できます。照明計画によって対応できるところが強みです。
高効率かつ低ランニングコスト
LED一体型ベース照明の場合、従来の蛍光灯器具と同程度の価格まで下がっていますが、ランニングコストも見逃せません。
蛍光灯2灯相当の明るさでも25W前後の消費電力で済みますから、より短期間でイニシャルコストを回収できるのです。
交換時に大量の廃材が出ること
良いことづくめのように思える照明器具交換工事ですが、やはり交換後の廃材の処分は頭の痛いところでしょう。
既存器具がごっそりゴミになるわけですから、交換後の処分方法まで念頭に入れねばなりません。
導入しやすいLED直管ランプ
既存の灯具はそのままで、LED直管ランプのみ付け替える方法がバイパス工事です。既存器具(FLR、FHFなど)の内部には安定器やインバータなどが組み込まれており、それらを介さずに電源を直結するから「バイパス」と呼んでいるのです。
工事は非常に簡単です。安定器等に繋がっている電源線を断ち切った上で直結するだけですから、さほど時間も掛かりません。
リースやレンタル対応が可
LED照明導入の際には、どうしても初期投資がネックとなりがちなのですが、中にはリースやレンタルに対応している業者も存在します。
例えばLEDランプ1本あたり1ヶ月200円といった具合に、リース料やレンタル料さえ支払えば、コストの掛かるバイパス工事からランプ付け替えまで一貫して仕上げてくれる場合が多いのです。
既設器具の劣化に伴う不具合
既設器具をそのまま使用するため、器具本体の劣化は避けられません。錆びや汚れなどによって外観を損なう場合もあります。
またランプ端子を固定する口金部分の部品は、多くがプラスチック製ですし、劣化による割れや破損が起こるとLEDランプ本体が落下する恐れがあります。
特にLEDランプは蛍光灯に比べて重いため、地震などで二次被害を与えることも想定しなければなりません。
メーカーや製品によって品質にバラツキがある
LED一体型ベース照明などの場合、JIS規格が規定されていますが、バイパス工事で取り付けるLED直管ランプの場合、そういった規格には合致していません。
それゆえに様々なメーカーが参入しやすいと言えるのですが、品質に大きくバラツキが出ることが問題になっているのです。
不点灯やちらつきなどの不具合だけでなく、LED特有の指向性からくるグレアが起こるのも、このタイプが多いと言えるでしょう。
まとめ
またLED直管ランプと比べれば、LED一体型ベース照明の方が約40%程度省電力の製品もございますし、その場合、初期投資も早く回収できるわけです。新しく見た目も美しいという点も評価したいと思います。ただし設置場所や環境によって、バイパス工事の方にメリット性が高い場合もあります。十分に考慮した上で照明計画を建てていくべきでしょう。