基本的なことになりますがエアコンには家庭用と業務用があることはご存知でしょうか?
家電量販店に行けばエアコンがたくさん展示されています。そして、ここで展示されているのは恐らくすべて家庭用エアコンで一般のご家庭で使用する商品でしょう。
家庭用エアコンがオフィスや店舗で使用できないわけではありません。もちろん使うことはできます。しかし店舗やオフィスでは部屋の広さや環境など家庭に比べ大きくことるため、家庭用エアコンではキャパが足りません。
そのため店舗やオフィスで使用するために運転能力(馬力)の高い業務用エアコンを使用します。
簡単に言えば業務用エアコンは能力が高いということですが、家庭用エアコンの違いについては分かり難いかと思います。
そこで今回は家庭用エアコンと業務用エアコンの違いについて詳しく解説していきます。
冷暖房能力の違い
家庭用と業務用では冷暖房の能力に大きな差があります。
エアコンでいう能力とは馬力のことです。馬力が大きいほど冷やす、温めるといった能力が高くなります。家庭用のエアコンの能力は大きいもので7.1㎾ほどになります。これは部屋の広さでいうと約23畳ほどになります。
23畳はあくまで目安であり冷房時と暖房時、木造、鉄筋などの構造の状況によっても変わります。
また家庭用エアコンを選ぶ場合には部屋の何畳用といった選び方になります。したがって業務用のように何馬力用といった選び方とも違います。
家電量販店は説明札をみれば8畳用、12畳用など記載されていますが業務用エアコンの場合は部屋の広さと算出基準負荷といった要素を掛け合わせ必要な馬力を計算するので単純には選べません。
しかし業務用エアコンの専門家に見てもらえば適切なエアコン選びをしてくれるの安心してください。
家庭用エアコンの畳数目安
広さ | 冷房時 | 暖房時 | 能力 |
---|---|---|---|
6畳用 | 木造 6畳 鉄筋 9畳 | 木造 6畳 鉄筋 7畳 | 2.2kw |
8畳用 | 木造 7畳 鉄筋 10畳 | 木造 7畳 鉄筋 7畳 | 2.5kw |
10畳用 | 木造 8畳 鉄筋 12畳 | 木造 8畳 鉄筋 10畳 | 2.8kw |
12畳用 | 木造 10畳 鉄筋 15畳 | 木造 9畳 鉄筋 12畳 | 3.6kw |
14畳用 | 木造 11畳 鉄筋 17畳 | 木造 11畳 鉄筋 14畳 | 4.0kw |
18畳用 | 木造 15畳 鉄筋 23畳 | 木造 15畳 鉄筋 18畳 | 5.6kw |
20畳用 | 木造 17畳 鉄筋 26畳 | 木造 16畳 鉄筋 20畳 | 6.3kw |
23畳用 | 木造 20畳 鉄筋 30畳 | 木造 17畳 鉄筋 21畳 | 7.1kw |
電圧の種類が違う
家庭用と業務用では電圧の種類が違います。
家庭用の電圧は単相100Vまたは単相200Vの電圧を使いますが業務用は三相200Vの電圧を使いますが単相200Vも使う事ができます。単相は一般の家電製品などで使われ三相は産業用の機械や業務用のエレベーター、冷蔵庫などで使われます。
業務用エアコンで使用される三相は「動力」とも呼ばれています。電力会社と電気の契約をする際に三相200Vの業務用エアコンを使っている場合は「動力」の契約が必要です。
単相でも三相でも電気料金には差がありません。
電気料金の契約や種別が違う
単相と三相では電力会社と電気の契約内容が異なります。
料金プランなどの内容は電力会社によって違いますが、東京電力の場合、家庭用エアコンは「電灯」(従量電灯)の契約をすることになります。この従量電灯の契約は単相の100Vで使用する電化製品などです。
業務用エアコンで三相200Vを使う場合は「動力」(低圧電力)を契約するか高圧契約をするかの2通りです。高圧契約の場合にはビルやホテル、病院、学校、工場のように電気の使用量が多い建物が契約対象となります。高圧契約はデマンドによって電気料金が変動する複雑な契約形態となっています。
選び方の違い
家庭用と業務用では選び方が違います。
家庭用エアコンの場合は部屋の広さに応じて畳数でエアコンの種類を決めますが業務用は部屋の広さだけではありません。
業務用エアコンの場合、部屋の広さに加え熱量を加えて種類を選ぶ必要があります。例えば店舗では火を使ったりお客さんの出入りがあることで空調能力(馬力)を大きなものにする必要があります。
オフィスと店舗で比較した場合、同じ面積でも熱量は違うため能力の異なる業務用エアコンを選ばなくてはいけません。
業務用のエアコンの選ぶポイントは、どよのうな場所に設置するかが重要なことになります。
室外機と室内機の組合せ
エアコンには室内機と室外機があり業務用エアコンを選ぶ上では、この組み合わせも重要になってきます。
家庭用のエアコンは室外機と室内機が一対一でつながっている単純です。
一方、業務用エアコンは1つの室外機で複数台数の室内機を繋げることができ同時に室内機を運転させたり、個別に運転させたりすることができます。これを同時運転マルチや個別運転マルチと呼んでいます。
もちろん一対一で繋げることもできます。これはペアと呼ばれています。
選び方の中でも解説していますが部屋の広さや熱量から選ぶこと以外にも組合せによって複数を同時運転させるのか複数台数を個別運転させるのか、または一対一で複数を運転させるのかを決めるのも業務用エアコンを選ぶ上では重要な要素となります。
さらに業務用エアコンの上位機種にはビル用マルチエアコン(通称ビルマルチ)があり業務用エアコンよりも更に広い面積で効率良く運転できうる空調システムもあります。
家庭用と業務用の見分け方
買い替えの時に気になるのが、家庭用か業務用かを見分けることです。
性能的なものでは大きな違いがあることはお分かり頂けたかと思いますが家庭用と業務用では外見上にも違いがあります。
家庭用は据え置き形ですが業務用は据え置き型だけでなく埋込み形もあります。一見みただけではわからないので仕様銘板をみると分かります。
また家庭用エアコンはルームエアコンと表示されていたり、業務用エアコンはパッケージエアコンと表示されていたりします。
工事内容の違い
家庭用エアコンは家電工事の範囲でるため家電量販店などでエアコンを購入する工事の段取りをすることができます。
しかし業務用エアコンは、より専門的な作業が必要となるため家電工事の感覚では工事ができません。埋込み形の室内機の設置、フロンガス回収、配管洗浄など様々です。
業務用エアコンの工事は「管工事」が関わります。この管工事を得意とする業者が空調設備業です。
まとめ
家庭用と業務用エアコンの違いについてはお分かり頂けたでしょうか。
基本的な構造にあまり差はありませんが、冷暖房の能力の違いや室内機と室外機の組合せなど家庭用のエアコンではできない要素が業務用エアコンにあります。
他にもエアコンには工事が伴います。家庭用エアコンの設置と業務用エアコンの設置は難易度も違うため入れ替えに当たっては専門業者に相談するようにしましょう。
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