
先に答えをお伝えすると、ポータブル電源はスマートフォンの充電や照明など小さな機器を一時的に支える道具であり、業務用空調や事業全体を動かし続ける設備ではありません。
必要かどうかは、停電が何日続く想定で、どの業務を続けたいかによって変わります。
非常用電源の研究分野では72時間の電源確保を目標にした検討も報告されており、令和6年(2024年)能登半島地震の停電が企業の生産活動に与えた影響も研究対象になりました。
法人がポータブル電源の要否を判断する基準と、発電機や据え置き型蓄電池との使い分けを整理します。
📌 この記事でわかること
- 1
法人にとってのポータブル電源の要否は、停電の想定期間と停電中も続ける業務の内容によって決まり、災害対策として一律に不要とは言えません。
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災害用ポータブル電源が「いらない」とされる主な理由は、容量不足、事前充電の手間、停電はすぐに復旧するという見方の三つです。
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防災用ポータブル電源は、スマートフォンの充電やLED照明、ラジオなど通信・照明・情報収集の用途に向き、業務用エアコンや大型機器の稼働には向きません。
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据え置き型蓄電池は分電盤に接続して決めた回路へ給電でき、平常時のピークカットにも使える点で、接続した機器にしか給電できないポータブル電源と異なります。
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3日以上の停電を想定する事業所では、ポータブル電源単独では電力が不足しやすく、据え置き型蓄電池や発電機との併用が検討対象になります。
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📑 この記事の内容
「災害にポータブル電源はいらない」と言われる理由と、法人が導入を迷うポイント🔗

定義:ポータブル電源とは、内蔵バッテリーに電気をためてコンセントやUSBから給電できる持ち運び可能な電源装置のことです。
結論:法人にとってのポータブル電源の要否は、停電の想定期間と停電中も続ける業務の内容によって決まります。
- 要点1:ポータブル電源が「いらない」とされる主な理由は、容量不足・事前充電の手間・停電は短期で復旧するという見方です。
- 要点2:事業所の担当者がポータブル電源の導入で迷いやすい点は、費用対効果・保管場所・管理負担の三つです。
- 要点3:ポータブル電源は事業全体を動かす設備ではなく、小型機器を一時的に支える備えとして位置づけるのが妥当です。
防災用のポータブル電源は、本当に事業所にとって不要なのでしょうか。Q&Aサイトや口コミを見ると「買ったものの一度も使わなかった」「容量が足りず役に立たなかった」という声がある一方で、「停電中にスマートフォンを充電できて助かった」という声も見られます。どちらの声も間違いではありません。期待していた役割と実際の使い道が合っていたかどうかで、評価が分かれていると考えられます。
「いらない」とされる理由は三つに集約できます。容量が限られていて長時間の停電を賄いきれない点、日頃から充電しておかないと非常時に使えない点、そして停電はすぐに復旧するという見方です。ただし三つ目は災害の規模によって前提が崩れます。令和6年(2024年)能登半島地震については、停電が災害関連死や企業の生産活動に与えた影響を分析した研究も発表されています。
(出典:令和6年(2024年)能登半島地震による停電と災害関連死および企業生産活動への影響|Yoshihiro Okumura, 2024)
事業所の担当者が迷う理由は、家庭とは少し異なります。何台そろえれば足りるのかという費用対効果、どこに置くかという保管場所、誰が充電と点検を担うかという管理負担の三点です。家庭なら1台で済む話でも、事業所では部署や拠点ごとに台数が増えます。台数が増えれば管理の手間も膨らむため、購入をためらう背景にはこの見えにくい運用コストがあると言えます。
西日本全域で施工管理に携わってきた立場から言うと、オフィス・工場・店舗・公共施設では電気の使われ方がまったく違います。カタログの容量や出力だけを比べても、停電時にその現場で何を動かしたいかが決まっていなければ判断はつきません。ポータブル電源の評価が割れる原因の一つは、用途が決まらないまま購入されている点にあります。
💡 ポイント
「いらない」かどうかを決める前に、停電中に最低限動かしたい機器を書き出してみてください。用途が定まれば、必要な容量も台数も絞り込めます。
ポータブル電源は万能な非常用電源ではなく、小さな機器を一時的に支える道具です。この位置づけで捉えれば、「いらない」という評価にも「助かった」という評価にも納得がいくはずです。次のセクションでは、災害時に役立つ具体的な場面と、事前に知っておきたい限界を整理します。
従業員数や拠点数に応じた判断の目安は、以下の記事で詳しく解説しています。
ポイントは、停電中に動かしたい機器を先に決めることです。用途が決まれば、要否の判断はぐっと楽になりますね。
災害時にポータブル電源が役立つ場面と、事前に知っておきたい限界🔗

定義:防災用ポータブル電源の限界とは、容量・定格出力・事前充電・重量などの条件によって使える機器や時間が制約されることです。
結論:防災用ポータブル電源は通信・照明・情報収集を支える用途に強く、業務用空調や大型機器の稼働には向きません。
- 要点1:ポータブル電源は排気ガスや騒音が出ないため、事務所の屋内でも使用できます。
- 要点2:ポータブル電源の使用可能時間は容量と機器の消費電力で決まり、変換ロスによって計算値より短くなります。
- 要点3:ソーラーパネルによるポータブル電源の充電は天候に左右されるため、停電対策では補助的な手段にとどまります。
ポータブル電源が力を発揮するのは、小さな電力で大きな安心が得られる場面です。停電が起きてまず必要になるのは、連絡手段と明かり、そして情報です。スマートフォンや業務用タブレットの充電、LEDライトの点灯、ラジオやWi-Fiルーターの稼働は、いずれも消費電力の小さい機器にあたります。燃料を燃やさないため排気ガスや騒音が出ず、事務所の室内でそのまま使える点も利点です。
一方で、仕様の読み方を誤ると期待外れに終わります。押さえておきたいのは容量(Wh)と定格出力(W)の二つです。容量はためておける電気の総量を、定格出力は一度に安定して取り出せる電力の上限を示します。定格出力を超える機器はつないでも動きません。容量が小さければ動かせる時間が短くなるため、二つの数値を必ずセットで確認してください。
| 用途 | ポータブル電源との相性 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| スマートフォン・タブレットの充電 | 向いている | 同時に充電する台数と端子の数 |
| LED照明・ラジオ | 向いている | 夜間に使う時間の長さ |
| ノートパソコン・Wi-Fiルーター | 条件付きで向いている | 消費電力と使いたい時間から必要容量を計算 |
| 小型冷蔵庫・電気ポット | 機種による | 起動時や加熱時の電力が定格出力を超えないか |
| 業務用エアコン・大型機器 | 向いていない | 電源方式と消費電力の面で据え置き型設備を検討 |
たとえば仮に容量1,000Whの機種で、消費電力50Wのノートパソコンを使う場合を考えます。計算上は約20時間ですが、内部で直流を交流に変換する際のロスがあるため、実際に使える時間はこれより短くなります。停電時の使用可能時間は、機種や接続する機器の負荷によって異なります。業務用エアコンには三相200V電源で動く機種もあり、単相100V出力が中心のポータブル電源では接続できない場合があります。事務所全体の空調や照明をポータブル電源で賄う計画は、現実的ではありません。
使用可能時間の計算例(仮定の数値)
📝 補足
ポータブル電源は、会議室のコンセント不足やイベント時の電源としても使えます。平常時に使っておくと残量確認が習慣になり、非常時の充電切れを防ぎやすくなります。
見落とされやすいのは、事前充電と重量の問題です。停電してからでは充電できないため、常に一定の残量を保つ運用が欠かせません。容量の大きい機種ほど本体は重くなり、階段で別フロアへ運ぶ場面では負担になります。水濡れにも注意が必要です。浸水や雨漏りの起こりうる場所に置くと故障や発火の原因になりかねないため、床面から離れた乾いた場所で保管してください。
⚠️ 注意
浸水が想定される地域では、1階の床置きを避けて保管してください。濡れてしまった本体は使用せず、販売元やメーカーの案内に従って点検を受けてください。
ソーラーパネルを組み合わせれば長期停電にも対応できると考えたくなりますが、発電量は天候や季節、パネルの向きに左右されます。曇りや雨が続けば十分に充電できない日も出てくるため、主力ではなく補助的な手段と捉えるのが現実的です。強みと限界が見えたところで、次は発電機やモバイルバッテリー、据え置き型蓄電池との違いを比べます。
ここ大事なんですけど、容量と定格出力は必ずセットで見てください。片方だけで選ぶと、いざという時に動かない機器が出てくるんですよ。
発電機・モバイルバッテリー・据え置き型蓄電池との違い🔗

定義:停電対策用電源の違いとは、ポータブル電源・発電機・モバイルバッテリー・据え置き型蓄電池の給電範囲や使用条件の差のことです。
結論:停電対策の電源は一つに絞らず、停電の想定期間と給電したい範囲に応じて組み合わせるのが合理的です。
- 要点1:モバイルバッテリーは主にUSB給電の小型機器向けで、家電用のAC出力を持たない製品が中心です。
- 要点2:発電機は燃料があれば長時間給電できますが、排気ガスが出るため屋内では使用できません。
- 要点3:分電盤に接続する据え置き型蓄電池は、停電時に決めた回路へ給電でき、平常時の電力活用にも使えます。
違いを押さえる目的は、どれか一つを選ぶことではありません。手元の電源に無理な役割を背負わせないことにあります。ポータブル電源に長期停電の全てを任せれば容量が足りず、発電機に屋内の電源を任せれば安全上の問題が生じます。三つの比較を順に確認すると、自社でどの組み合わせが必要かが見えてきます。
最初に確認したいのが、モバイルバッテリーとの違いです。モバイルバッテリーはUSB端子からスマートフォンなどを充電する小型の電池で、コンセント形状のAC出力を持たない製品が中心です。ポータブル電源はAC出力を備えるため、ノートパソコンや照明器具も動かせます。社員一人ひとりの連絡手段にはモバイルバッテリー、共用機器にはポータブル電源という分け方が考えられます。
次に比べたいのが発電機です。発電機は燃料を補給すれば長時間給電を続けられる一方、運転中は排気ガスと騒音が出ます。一酸化炭素中毒の危険があるため屋内では使えず、ガソリンなどの燃料保管には消防法上の制限もかかります。燃料は時間とともに劣化するため、備蓄分の入れ替えも欠かせません。災害用の小型発電機を検討する場合は、屋外の設置場所と燃料管理の担当まで決めておく必要があります。
据え置き型蓄電池は、建物の分電盤に接続して使う設備です。停電を検知して自動で切り替わる機種であれば、あらかじめ決めた回路の照明やコンセントへ給電を続けられます。平常時は電力需要が高まる時間帯に放電して契約電力の上昇を抑えるピークカットにも使えるため、防災専用で眠らせておく必要がありません。設置と配線には電気工事が伴うため、専門家への相談が前提です。
ポータブル電源・発電機・据え置き型蓄電池の比較
| 項目 | ポータブル電源 | 発電機 | 据え置き型蓄電池 |
|---|---|---|---|
| 屋内での使用 | 可能 | 不可(排気ガスが出る) | 設置場所に固定して使用 |
| 給電範囲 | 接続した機器のみ | 接続した機器のみ | 分電盤の回路単位 |
| 停電時の切り替え | 手動で機器を接続 | 手動で始動・接続 | 機種により自動 |
| 平常時の活用 | 小型機器の電源 | 非常時が中心 | 電力使用の平準化に活用可 |
| 導入時の工事 | 不要 | 機種や設置方法による | 電気工事が必要 |
🔴 重要
据え置き型蓄電池の設置や配線には、電気工事士の資格が必要な作業が含まれます。自社で配線に手を加えず、施工会社などの専門家に相談してください。
メーカーを横断して製品を比べてみて分かったのは、同じ「蓄電池」でも給電できる回路の範囲や切り替え方式が製品ごとに異なる点です。名称だけで判断すると、停電時に動かしたい機器がつながっていなかったという事態も起こりえます。電源は優劣で比べるより、停電の長さと給電範囲に合わせて組み合わせるほうが判断を誤りにくくなります。
非常用電源の種類ごとの詳しい比較とBCPでの位置づけは、以下の記事にまとめています。
非常用電源の選び方|種類別の比較と企業のBCP対策に必要な視点
補足すると、電源は一つに頼るより、停電の長さに合わせて役割を分けるほうが、結果的に無駄の少ない備えになると思います。
ポータブル電源が必要な事業所・急いで導入しなくてよい事業所の判断基準🔗

定義:BCP(事業継続計画)とは、災害などの緊急時に重要な業務を継続または早期に再開するための計画のことです。
結論:ポータブル電源の必要性は、停電想定日数と停電中も継続する業務の有無を照らし合わせて判断できます。
- 要点1:停電中も継続する業務や通信確保が必須の事業所では、ポータブル電源の必要性が高くなります。
- 要点2:短時間の停電のみを想定する事業所や据え置き型設備がある事業所では、ポータブル電源を急いで導入する必要性は低くなります。
- 要点3:3日以上の停電を想定する事業所では、据え置き型蓄電池や発電機との併用が検討対象になります。
御社にとって、ポータブル電源は必要な備えなのでしょうか。答えを出すには、製品を比べる前に二つの確認が欠かせません。一つは想定している停電の長さ、もう一つは停電中も続けたい業務の中身です。この二点が曖昧なままでは、どれだけ製品情報を集めても判断の軸が定まりません。
必要性が高いのは、停電中も顧客対応や安否確認を続ける事業所、通信手段の確保が業務の前提になっている事業所、拠点が分散していて各所に小さな電源を配りたい事業所です。反対に、想定する停電が数時間程度にとどまる場合や、据え置き型蓄電池や非常用発電設備をすでに備えている場合は、急いで追加購入しなくても大きな支障は出にくいと考えられます。
判断の軸として使いやすいのが停電想定日数です。非常用電源の研究では、72時間の電源確保に向けた大容量非常用発電設備の検討が報告されています。3日間という長さを一つの基準に置くと、ポータブル電源だけで乗り切れる範囲と、他の手段が必要になる範囲を分けやすくなります。
(出典:大容量非常用発電設備の検討 -72時間の電源確保に向けて-|小坂 直人, 2025)
停電想定日数別に見るポータブル電源の位置づけ
たとえば営業所が複数ある事業者を想定すると、優先順位の整理は三段階で進められます。停電中も続けたい業務を書き出し、その業務に使う機器と消費電力を一覧にします。そのうえで想定日数に照らし、ポータブル電源・発電機・据え置き型蓄電池のどれで賄うかを割り当てます。ポータブル電源の要否は、BCPの中で電源の優先順位を整理した結果として決まるものです。
電源の優先順位を整理する3段階
- 継続業務を書き出す
停電中も続けたい顧客対応・安否確認・通信などの業務を洗い出します。 - 機器と消費電力を一覧にする
その業務に使う機器と、それぞれの消費電力を整理します。 - 想定日数に照らして電源を割り当てる
ポータブル電源・発電機・据え置き型蓄電池のどれで賄うかを決めます。
💡 ポイント
優先順位は「業務→機器→消費電力→停電想定日数」の順で整理すると迷いにくくなります。最初から全拠点を対象にせず、本社や主要拠点から始めても十分です。
判断基準を持たずに購入すると、数時間の停電には過剰で、3日以上の停電には不足するという中途半端な備えになりがちです。停電想定日数と継続業務を先に整理しておけば、ポータブル電源を何台用意するか、据え置き型蓄電池まで視野に入れるかを筋道立てて判断できます。
据え置き型蓄電池を軸にした法人BCPの全体像は、以下の記事で解説しています。
蓄電池防災とは?法人BCPで備える停電対策・容量・選び方の基本
よく聞かれるんですが、何台必要かを決める前に、停電想定日数と続けたい業務を社内で一度書き出してみてください。
法人が防災用電源を選ぶ基準と、保管・運用で失敗しないための注意点🔗

定義:防災用電源の選定基準とは、容量・定格出力・重さ・安全性・保管のしやすさから事業所に合う機種を見極める視点のことです。
結論:法人の防災用電源は、使いたい機器の消費電力から容量と出力を逆算し、点検ルールまで決めてから導入するのが確実です。
- 要点1:ポータブル電源の必要容量は、機器の消費電力と使用時間を掛け合わせた値に余裕を持たせて決めます。
- 要点2:ポータブル電源を満充電のまま長期間保管すると、内蔵電池の劣化が進みやすくなります。
- 要点3:防災用電源は担当者と点検日を決めておくことで、非常時に使えない事態を防ぎやすくなります。
選定で最初に手をつけたいのは、カタログではなく使いたい機器の一覧です。機器ごとの消費電力(W)と停電中に使いたい時間を掛け合わせると、必要な電力量(Wh)の目安が出ます。変換ロスを考えて、算出した値より容量に余裕のある機種を選ぶと安心です。起動時に大きな電力を必要とする機器もあるため、定格出力にも余裕を見ておいてください。
大容量の1台にまとめるか、中容量を複数台に分けるかは、事業所のレイアウトで判断が分かれます。フロアや部署が分かれているなら、各所に分散配置したほうが持ち運びの負担は減ります。安全性については、電池の種類と、過充電・過放電・温度異常を防ぐ保護機能の有無を仕様書で確認してください。取得している認証表示も、販売元に確かめておくと判断材料になります。
防災用ポータブル電源の導入前チェックリスト
- 容量(Wh):使用機器の消費電力×使用時間の値に余裕を持たせた容量を選びます
- 定格出力(W):同時に使う機器の合計電力と起動時の電力を上回る出力を確保します
- 重さ・台数:担当者が運べる重さと、拠点ごとに必要な台数を確認します
- 安全性:電池の種類、保護機能の有無、取得している認証表示を仕様書で確認します
- 保管・点検:推奨される保管残量、点検の周期、点検の担当者を事前に決めます
具体的には、満充電のまま長期間置いておくと内蔵のリチウムイオン電池に負担がかかり、劣化が進みやすくなります。メーカーが推奨する残量の範囲で保管し、社内で決めた周期で残量を確かめてください。防災訓練の日に実際に機器をつないで動かせば、充放電を兼ねた点検と使い方の確認を一度に済ませられます。
注意したいのは、購入後に倉庫へしまったまま担当者が異動し、管理が途切れるケースです。点検の担当者と記録方法を決め、引き継ぎ書類に残しておくと管理が続きやすくなります。交換時の処分にも配慮が必要です。リチウムイオン電池を含むため、回収サービスの有無を購入先のメーカーに確認し、法人として排出する場合は産業廃棄物の扱いも含めて処理業者に相談してください。
⚠️ 注意
満充電での長期保管や、高温になる倉庫・直射日光の当たる場所での保管は劣化や故障の原因になります。保管環境も点検項目に含めてください。
照明や業務用エアコンの省エネ提案に携わってきた経験を振り返ると、電源の備えも空調や電力契約を含めた設備全体で考えるほうが無駄は少なくなります。エネプラでは、メーカー横断の製品選定と250件以上の施工実績をもとに、補助金申請サポートを含めた電源計画を無料省エネ診断でご相談いただけます。補助金は制度変更が頻繁なため、最新情報は各制度の公式サイトで確認してください。
平常時の電気代も含めたエネルギーコストの見直し手順は、以下の記事で紹介しています。
意外と見落としがちですが、担当者が替わると点検は止まりやすいので、引き継ぎの仕組みまで決めておくと安心かもしれません。
電源の備えを固める順番
ポータブル電源が災害に必要かどうかは製品の評判ではなく、自社の停電想定日数と停電中も続ける業務で決まるため、業務の洗い出しから電源の割り当て、保管と点検の仕組みづくりまで順に進めることが重要です。
- まず停電中も続けたい業務と使う機器を書き出し、機器の消費電力と使用時間から必要な容量と定格出力を逆算してください。
- 停電想定日数に照らし、小型機器はポータブル電源、3日以上の停電や回路単位の給電は据え置き型蓄電池や発電機に割り当ててください。
- 導入後は満充電を避けた保管残量と点検の担当者・周期を決めて引き継ぎ書類に残し、防災訓練の日に機器をつないで動作を確認してください。
よくある質問
よくある質問について:実務で直面しやすい疑問や判断に迷いやすいポイントを中心に、読者から多く寄せられる質問を観点別に整理しました。本文と併せてチェックリストとして活用してください。
事業所用のポータブル電源は何Whあれば足りますか
使いたい機器の消費電力(W)と停電中に使う時間を掛け合わせて算出します。たとえば消費電力50Wのノートパソコンを8時間使うなら400Whが目安です。変換ロスがあるため、算出値より余裕のある容量を選び、定格出力が同時使用する機器の合計を上回るかも確認してください。
発電機とポータブル電源はどちらを優先すべきですか
屋内で通信機器や照明を動かしたいならポータブル電源、屋外で長時間の給電が必要なら発電機が向いています。発電機は排気ガスが出るため屋内では使えず、燃料保管には消防法上の制限もあります。停電想定日数と使う場所で役割を分けるのが現実的です。
停電は何日分を想定して備えればよいですか
非常用電源の研究では72時間の電源確保を目標にした検討が報告されており、3日間を一つの基準に置くと判断しやすくなります。数時間ならポータブル電源で対応しやすく、3日以上を想定するなら据え置き型蓄電池や発電機との併用を検討してください。
ポータブル電源は何年くらい使えますか
使用年数は電池の種類や充放電の回数、保管環境によって変わります。仕様書に記載された充放電サイクル数を確認し、満充電のまま放置しない、高温を避けるといった保管ルールを守ることで劣化を抑えやすくなります。定期点検で容量の低下も確認してください。
この記事を読んだ方がよく検索する質問
社内でポータブル電源の導入を提案するには何をまとめればよいですか
停電中も続けたい業務、その業務で使う機器と消費電力、想定する停電日数の三点を一覧にまとめると説得力が増します。必要な台数と容量、保管場所、点検担当者まで添えれば、費用対効果と管理負担の両面から社内で判断しやすい提案になります。
据え置き型蓄電池の導入費用を抑える方法はありますか
国や自治体の補助金制度を活用できる場合があります。ただし交付決定前に発注・着工すると対象外になる制度もあるため、検討段階で施工会社に相談しスケジュールを確認してください。平常時のピークカットで電気代を抑えられる点も、投資判断の材料になります。
防災訓練でポータブル電源をどう活用すればよいですか
訓練日に実際に照明や通信機器をつないで動かすと、充放電を兼ねた点検と使い方の確認を一度に済ませられます。運搬にかかる時間や同時に使える機器の数も把握できるため、訓練後に保管場所や台数の見直しにつなげてみてください。
照明のLED化は停電対策にも役立ちますか
消費電力の小さい照明であれば、同じ容量の電源でも点灯できる時間が長くなります。据え置き型蓄電池から照明回路へ給電する場合も、照明の消費電力が小さいほど他の機器に電力を回しやすくなります。平常時の省エネと停電時の備えを一緒に考えると効率的です。
参考文献
参考情報について:本記事の信頼性を担保するため、公的統計・学術論文・業界専門媒体を中心に、複数の一次情報源を参照しました。各出典は執筆時点で確認できる最新情報に基づいています。
- 令和6年(2024年)能登半島地震による停電と災害関連死および企業生産活動への影響|Yoshihiro Okumura, 2024
- 大容量非常用発電設備の検討 -72時間の電源確保に向けて-|小坂 直人, 2025
- 大規模災害による被災後の建築物における電源確保|山海 敏弘, 2023
- 太陽光発電主力電源化に向けて蓄電池、水素の有効利用について|佐瀬 毅, 2024
- 自家発電設備の計画と設計|稗田 雄大, 2019
- 川越キャンパス内エネルギー利用に関する指標化および周辺地域向け移動電源設備の開発|平瀬祐子他, 2022
- 理系大学生および大学院生の自宅および研究室における備蓄に係る調査研究|Yusuke Koshiba, 2023
- 女子短期大学生の食料備蓄と防災に関する意識調査|栗原和也, 2023
- 再生可能エネルギーを活用したスマートハウスに関する課題と展望 (斉藤昭雄名誉教授古稀記念号)|境新一, 2012
この記事の監修者
味生 豊
aOn株式会社 代表取締役/照明士・照明コンサルタント/第一種電気工事士・電気工事施工管理技士
建設業の電気通信分野で西日本全域250件以上の電波対策工事に従事後、2015年にエネプラを立ち上げ。法人向けLED照明工事の施工管理を年間30件以上担当する。相談に応えるため照明士・照明コンサルタントを取得し、施設照明の設計を専門とする。第一種電気工事士・二級電気工事施工管理技士として官公庁工事約30件を落札、主任技術者として現場を統括した。











