❖照明の使い方によって変わる印象
私たちは照明の使い方によっていろいろな印象を受けます。
例えばコンビニエンスストアがLED照明にしたら薄暗くなってしまった光景を目にしたことはないでしょうか。
外から見て明らかに薄暗いと感じてしまうコンビニエンスストアとは対照的にとても明るいドラッグストア。
業種の違いはありますが、同じ店舗でも光の使い方で印象は大きく変わります。(薄暗いコンビニのLEDは照度が低すぎて暗いのかもしれませんが)心理的には人は薄暗い店舗に行くより明るいお店に行くのではないでしょうか。
しかし、単純に明るければ良いわけではありません。何も考えずに明るさだけを追求してしまえば眩しさを感じたり、電気の使いすぎと思われたり逆効果になってしまいます。
明るくするのは簡単で単純です。照度の高い照明を使えば明るくなるからです。
しかし照明設計で大切なのは、単純に明るくするのではなく空間が明るくなるように照明の配置を考えることです。明るさ感のある空間は人を惹きつける効果もあり店舗などの照明設計では重要な要素でもあります。
照明の使い方で人の心理は大きく変わってきます。
どのようにしたら空間が明るく感じられる「明るさ感」を表現することができるのでしょか。
❖明るさ感をつくる方法
店舗などでは光の使い方によって印象は大きく変わります。例えば同じ蛍光灯を使っていたとしても明るさ感は違ってくることがあります。いったい何故でしょうか。明るさ感は照明の光だけでは決まらないからです。
部屋の明るさは照度という単位で表されますが、照度というのは光が当たっている面の明るさのことを意味しています。例えば店舗が500lxといった場合は床面が500lxであることを指しています。これは空間の明るさを指しているのではなく、あくまでも床面の明るさを表しています。
同じ空間を比較してみました。どちらが明るい印象があるでしょうか。
どうでしょうか。印象の違いがお分かり頂けますか?左の方が床面の照度が高いです。
しかし右の方が明るい感じを受けませんか。床面の照度が高いよりも壁面の照度が高い方が明るく感じます。これが明るさ感です。
照度の高さは白→赤→オレンジ→黄色→緑→青の順です。
床面の明るさは左の方が赤が強いことがわかります。奥の壁面は右の方が白く、強いことがわかります。
❖内装色や内装材の違いによる明るさ感
明るさ感は直接の光だけではありません。
同じ光でも部屋の内装色により明るさは変わります。
これは、内装色により光の反射率が異なるためです。白系の内装は光を反射しやすいため、明るく感じやすいですが黒系は光の反射が弱いため暗く感じやすくなります。
例えば白系と黒系の内装の色では光の反射率が変わります。黒系は光を当てても明るさは十分に保てません。そのため光の反射が少ない黒系の内装では明るさを感じられなくなってしまいます。
(黒系の内装) (白系の内装)
また、内装は色だけでなく素材によっても反射率がかわるため、ここでも印象が変わってきます。カーペットやタイルなどの柔らかめの素材は光を乱反射しやすいため光が分散してしまいます。
しかし、
セラミックタイルなどの硬い素材では光を正反射するため壁面へ照り返しが大きくなるため明るさ感が増すことになります。
❖まとめ
「明るさ感」は人の目に飛び込んでくる光に影響を受けていることがわかります。すなわち「輝度」によって左右されているということになります。輝度は角度や位置によって変化するため、明るさを示すには使いづらい指標ですが空間の明るさ感を考えることで人に与える印象が大きく変化してきます。