
1本あたりの差額は小さくても、灯数と点灯時間を掛ければ年間の金額は無視できない規模になります。
蛍光灯40W形1本を1日10時間・年250日点灯した場合、消費電力の差は実測で1本あたり20W前後。
これに灯数を掛けた金額が、LED化で動く固定費です。
この記事では事務所・工場・店舗という3つの規模で電気代の差を試算し、保守コストと投資回収の見方まで整理します。
📌 この記事でわかること
- 1
直管40W形の蛍光灯は安定器損失込みで器具全体約45W、同等の明るさのLED直管は18〜20Wで、1本あたり約25Wの差が生じます。
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年2,500時間点灯・30円/kWhの条件では、蛍光灯1本の年間電気代が約3,375円、LEDが約1,500円で、差額は約1,875円です。
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事務所100灯・年間点灯2,500時間なら年間約18.7万円、工場・倉庫100灯・年間4,800時間なら年間約36.0万円の電気代差が試算されます。
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蛍光ランプの定格寿命は6,000〜12,000時間程度、LED直管は40,000時間級が中心で、高天井では交換作業費が電気代以上の負担になります。
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LED化の投資回収期間は初期費用÷年間削減額で概算でき、事務所100灯・初期費用80万円なら約4.3年が目安です。
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📑 この記事の内容
蛍光灯とLEDの電気代はどれだけ違うのか|消費電力から見る基本構造🔗

定義:蛍光灯とLEDの電気代差とは、同じ明るさを得るために必要な消費電力の差から生じるランニングコストの違いのことです。
結論:直管40W形の蛍光灯をLEDに置き換えると、消費電力はおおむね半分前後まで下がります。
- 蛍光灯は放電と蛍光体を経由して発光するため、電力の一部が熱として失われます。
- 照明の電気代は「消費電力(kW)×点灯時間×電力量単価」で計算できます。
- 安定器を使う蛍光灯器具では、ランプ表示値に加えて安定器の損失分も電力を消費します。
まず押さえたいのは、電気代の差が明るさの差ではなく発光のしくみの差から生まれている点です。蛍光灯とLEDの電気代差とは、同じ明るさを得るために必要な消費電力の差から生じるランニングコストの違いです。蛍光灯は管内でガスを放電させ、その紫外線を管壁の蛍光体に当てて可視光へ変える方式をとります。途中に変換の段階が挟まるぶん、投入した電力の一部が熱に回ります。一方のLEDは半導体に電流を流して直接光を取り出すため、同じ明るさを得るのに必要な電力が少なくて済みます。
数字で見ると分かりやすくなります。直管40W形の蛍光ランプは、ランプ単体で約40W。これに安定器(放電を安定させるための部品)の損失が加わり、器具全体では45W前後を消費するケースが一般的です。対して同等の明るさをうたうLED直管は18〜20W程度の製品が多く見られます。差は1本あたり25W前後。ここに点灯時間と電力量単価を掛ければ、年間の金額が出てきます。
💡 ポイント
照明の電気代は「消費電力(kW)×点灯時間(h)×電力量単価(円/kWh)」で求められます。単価は請求書に記載された自社の実績値を使うのが正確です。
具体的に試算してみます。電力量単価を30円/kWhと仮定し、1日10時間・年250日(年間2,500時間)点灯する条件で計算します。蛍光灯器具45Wなら0.045kW×2,500h×30円で年間約3,375円。LED20Wなら0.020kW×2,500h×30円で年間約1,500円です。1本あたりの差額は年間約1,875円。単体では小さく見えても、灯数を掛けた瞬間に桁が変わります。単価と点灯時間は施設ごとに異なるため、この数字はあくまで前提条件つきの目安として扱ってください。
直管1本あたりの数字(2,500時間・30円/kWh)
蛍光灯とLEDの基本スペック比較
| 項目 | 蛍光灯(40W形) | LED直管 |
|---|---|---|
| 器具全体の消費電力 | 約45W(安定器損失含む) | 約18〜20W |
| 年間電気代(2,500h・30円/kWh) | 約3,375円 | 約1,500円 |
| 発光方式 | 放電+蛍光体による変換 | 半導体による直接発光 |
注意しておきたいのが、カタログのワット数だけで判断すると読み違えが起きる点です。蛍光灯側の「40W」はランプ単体の値であり、器具として使うときは安定器の損失が上乗せされます。逆にLED側は器具全体の入力電力を表示している製品が多く、そのまま比べると差が実際より小さく見えることがあります。比較する際は、どちらも器具全体の入力電力で揃えてください。
ここまでが1本単位の話です。法人施設で意味を持つのは、この差額に灯数と稼働日数を掛けた金額になります。事務所と工場では点灯時間も灯数も大きく違うため、同じ「LED化」でも動く金額はまったく別物です。次に、施設タイプ別の試算を見ていきます。
ポイントは、比較の土俵を器具全体の入力電力で揃えることですね。ランプ単体の40Wと器具全体の20Wを並べると、差を小さく見誤ります。
LED省エネの仕組みと効果とは?法人の電気代削減と導入判断の方法
法人施設の規模別に見る電気代の差|事務所・工場・店舗のシミュレーション🔗

定義:規模別シミュレーションとは、施設の灯数と年間点灯時間を掛け合わせて電気代の差額を算出する試算方法のことです。
結論:LED化の削減額は灯数よりも年間点灯時間に強く左右されます。
- 要点1:事務所100灯・年間点灯2,500時間・30円/kWhの条件では、年間約18.7万円の電気代差が試算されます。
- 工場や倉庫は点灯時間が長いため、同じ灯数でも削減額が大きくなります。
- 試算に使う電力量単価と稼働日数を変えると、結果は数十%単位で変動します。
試算のゴールは、自社施設で年間いくら動くかを概算でつかむことです。規模別シミュレーションとは、施設の灯数と年間点灯時間を掛け合わせて電気代の差額を算出する試算方法です。必要な数字は3つだけ。灯数、年間点灯時間、電力量単価です。以下では40W形直管を45W、LED直管を20Wとし、差を1本25Wとして計算します。単価は30円/kWhで統一しますが、実際には契約プランと燃料費調整額で変わるため、自社の請求書の数字に差し替えてください。
自社で試算するための3ステップ
- 灯数を区画ごとに数える
フロア全体でまとめず、通路・作業場・事務スペースに分けて数えます。 - 年間点灯時間を出す
1日の点灯時間×年間稼働日数で算出します。区画ごとに大きく変わります。 - 電力量単価を掛ける
請求書の実績単価を使い、差(kW)×時間×単価で年間差額を求めます。
Step1:事務所(100灯規模)で試算する
9時から19時まで稼働し、年250日という条件なら年間点灯時間は2,500時間です。1本あたりの差25Wに100灯を掛けると2.5kW。これに2,500時間と30円を掛けると、年間約18万7,500円の差額になります。事務所は昼間しか点灯しないぶん時間が伸びにくく、削減額は灯数に比例して素直に動きます。
Step2:工場・倉庫(高天井・長時間稼働)で試算する
2交代で16時間、年300日稼働なら年間4,800時間です。同じ100灯でも2.5kW×4,800h×30円で年間約36万円。事務所の約2倍です。さらに高天井部で水銀灯400Wクラスを使っている場合、LED高天井器具への置換で1灯あたり200W以上下がることもあり、削減幅はもう一段大きくなります。
Step3:店舗・テナントで試算する
営業11時間+開店前後1時間、年350日なら年間4,200時間です。50灯規模でも1.25kW×4,200h×30円で年間約15万7,500円。店舗は灯数が少なくても年中無休に近い稼働で時間が伸びるため、灯数の印象より削減額が大きく出る傾向があります。
施設タイプ別の年間差額(30円/kWh)
| 施設タイプ | 灯数・年間点灯時間 | 年間差額 |
|---|---|---|
| 事務所 | 100灯・2,500時間 | 約18.7万円 |
| 工場・倉庫 | 100灯・4,800時間 | 約36.0万円 |
| 店舗 | 50灯・4,200時間 | 約15.7万円 |
⚠️ 注意
電力量単価を25円と35円で計算すると、結果は4割近く変わります。試算するときは単価と稼働日数の前提を必ず併記し、社内で数字が独り歩きしないようにしてください。
試算のコツは、施設全体を一度に計算しようとしないことです。点灯時間が長い区画と短い区画を分けて数えると、どこから着手すれば効果が出るかが金額として見えてきます。倉庫の通路、24時間稼働の検査室、来客用の応接室では、同じ1本でも生み出す差額がまるで違います。全フロア一斉に切り替える必要はありません。時間の長い区画から段階的に進める方法でも、削減効果は着実に積み上がります。
現場の感覚だと、灯数より点灯時間のほうが金額を左右します。長時間つきっぱなしの区画から手を付けてみてください。
規模別の回収シミュレーションをより詳しく検討したい場合は、条件別の試算例をまとめた記事も参考になります。
電気代以外に差が出るコスト|ランプ交換・保守・空調負荷🔗

定義:照明のトータルコストとは、電気代に加えてランプ交換費・作業費・廃棄費・空調負荷までを含めた総費用のことです。
結論:高天井や長時間稼働の施設では、電気代より交換作業費のほうが負担として大きくなる場合があります。
- 蛍光ランプの定格寿命は製品により6,000〜12,000時間程度、LED直管は40,000時間級の製品が中心です。
- 高所での交換には高所作業車や足場が必要になり、ランプ代を上回る作業費が発生します。
- 蛍光ランプは水銀を含むため、廃棄時に産業廃棄物としての処理が必要になります。
電気代だけで比べると、LED化の価値を過小評価してしまうことがあります。照明のトータルコストとは、電気代に加えてランプ交換費・作業費・廃棄費・空調負荷までを含めた総費用です。実際の現場でよく問題になるのは何かというと、交換にかかる手間と費用です。照明は壊れるタイミングを選べません。稼働中の工場で1本切れるたびに作業を止めるのか、まとめて更新するのか。この判断が年間コストに効いてきます。
寿命の差から見ていきます。蛍光ランプの定格寿命は製品によって幅がありますが、6,000〜12,000時間程度が一般的です。年間4,800時間点灯する工場なら、2年前後で交換サイクルが回る計算になります。対してLED直管は40,000時間級の製品が中心で、同じ条件なら8年以上。交換回数が4分の1以下になる計算です。ただしLEDも光は徐々に暗くなるため、寿命は「点かなくなるまで」ではなく明るさの維持で判断します。教育施設を対象にLED照明導入によるエネルギー効率を検証した研究でも、照明更新が施設全体の電力消費に与える影響が定量的に整理されています。
📝 補足
LEDの寿命は「光束維持率70%に達するまでの時間」で定義されるのが一般的です。切れるまでの時間ではなく、明るさが7割まで落ちるまでの目安と理解してください。
ここに作業費が乗ります。天井高6mの倉庫でランプ1本を交換する場合、脚立では届かず高所作業車や昇降機が必要になります。手配と安全確保を含めれば、ランプ本体の何倍ものコストがかかることも珍しくありません。高天井の施設では、ランプ代よりも「そこまで人を上げる費用」が保守コストの主役になります。さらに蛍光灯器具の安定器も10年前後で劣化が進み、交換部品の確保が難しくなっていきます。
電気代以外に効いてくる3つのコスト
交換作業費
高所作業車や昇降機の手配、安全確保にかかる人件費。高天井ほどランプ本体より大きな負担になります。
空調負荷
蛍光灯は消費電力の一部が熱に変わります。灯数が多い空間では冷房負荷にも影響が及びます。
廃棄処理費
蛍光ランプは水銀を含むため一般ごみにできず、産業廃棄物としての適正処理が必要になります。
見落とされやすいのが発熱と廃棄です。蛍光灯は消費電力の一部が熱に変わるため、灯数が多い空間では空調の負荷にも影響します。冷房期間の長い施設では、照明の発熱低減が空調電力にも波及します。廃棄面では、蛍光ランプに水銀が含まれる点が実務上の負担です。一般ごみとして処分できず、産業廃棄物として適正処理する必要があるため、更新時はまとめて処理計画を立てておくと手戻りが減ります。
電気代・交換費・廃棄費を合わせて眺めると、LED化の判断材料はかなり具体的になります。次は、これらの削減見込みと初期費用を突き合わせて回収期間をどう見積もるかを整理します。
意外と見落としがちですが、水銀を含む蛍光ランプの廃棄費まで含めて計算すると、LED化の判断はかなり変わってくると思います。
LED化の投資回収期間をどう見積もるか|初期費用との比較🔗

定義:投資回収期間とは、LED化の初期費用を年間削減額で割って算出する、投資の回収に要する年数のことです。
結論:回収期間は「初期費用÷年間削減額」で概算でき、点灯時間の長い施設ほど短くなります。
- LED化にはランプのみ交換する方式と器具ごと交換する方式があり、費用構造が異なります。
- 水俣条約に基づき、直管形・環形蛍光灯は2027年12月31日で製造・輸出入が禁止されます。
- 補助金の対象要件と公募時期は年度ごとに変わるため、最新情報は公式サイトで確認が必要です。
まず確認したいのは、費用の中身が方式によって変わる点です。投資回収期間とは、LED化の初期費用を年間削減額で割って算出する、投資の回収に要する年数です。既存の蛍光灯器具を残してランプだけをLEDに替える方式は、1本あたりの部材費を抑えられます。ただし安定器をそのまま使う製品と、安定器を切り離すバイパス工事が必要な製品があり、後者は電気工事が発生します。一方で器具ごと交換する方式は費用が上がりますが、経年した器具本体と配線をまとめて更新できます。
回収期間の計算自体は難しくありません。初期費用を年間削減額で割るだけです。事務所100灯で年間削減額が約18.7万円、器具交換の初期費用が80万円なら、80÷18.7で約4.3年。工場100灯で年間36万円の削減、初期費用100万円なら約2.8年となります。点灯時間が長い施設ほど分母が大きくなり、回収年数は短くなります。ここに前章で触れた交換作業費の削減分を加えれば、実質の回収はもう少し早まると考えられます。
🔴 重要
回収年数は電力量単価・点灯時間・灯数・機器単価で変動します。試算結果は必ず前提条件とセットで社内共有してください。
そしてもう一つ、時間軸の制約があります。水俣条約に基づき、一般照明用の蛍光灯は段階的に製造・輸出入が禁止されます。コンパクト形蛍光灯は2026年12月31日、直管形・環形蛍光灯は2027年12月31日が期限です。規制開始後も手持ちの在庫を使い続けることや、在庫品の売買自体は可能とされていますが、交換用ランプの入手は年を追うごとに難しくなっていきます。切れてから探すのではなく、使える段階で更新計画を立てておくほうが、結果的に選択肢は広く残ります。
蛍光灯の製造終了スケジュールと準備の目安
ランプ交換方式と器具交換方式の比較
| 方式 | 初期費用 | 向いているケース |
|---|---|---|
| ランプ交換方式 | 低め | 器具本体が比較的新しい施設 |
| 器具交換方式 | 高め | 器具の経年が進み配線も更新したい施設 |
費用面では補助金の活用余地もあります。省エネ設備更新を対象とした国や自治体の制度は複数ありますが、対象要件・補助率・公募時期は年度ごとに見直されます。採択が保証されるものではないため、最新情報は必ず公式サイトで確認してください。エネプラでは補助金申請のサポートも含めて対応しています。概算でいいので、まず自社の灯数と点灯時間から回収年数を出してみるところから始めてみてください。
ここ大事なんですけど、回収年数は前提条件込みで社内共有してください。単価だけ変わって数字が独り歩きすると、後で話がこじれます。
消費電力の目安と試算の詳しい手順は、別記事で数値例を交えて解説しています。
LED消費電力の目安|法人施設の電気代と投資回収の試算ノウハウ
電気代削減効果を落とさないための選定ポイントと注意点🔗

定義:LED選定における適正スペックとは、必要な照度を確保しながら消費電力を最小化する製品仕様のことです。
結論:選定はワット数ではなく全光束(ルーメン)と配光特性を基準に進める必要があります。
- ルーメンは光源が出す光の総量、ルクスは対象面に届いた明るさを示す単位です。
- 安定器のバイパス工事は電気工事士の資格が必要な作業にあたります。
- 配光角が狭い製品は床面が暗く感じられ、灯数の追加が必要になる場合があります。
目指すゴールは、電気代を下げつつ現場の明るさを落とさないことです。LED選定における適正スペックとは、必要な照度を確保しながら消費電力を最小化する製品仕様です。ここを外すと、後から灯数を足して削減効果が目減りします。順を追って確認していきます。
Step1:必要な明るさをルーメンと照度で決める
ルーメン(lm)は光源が放つ光の総量、ルクス(lx)は作業面に届いた明るさを表します。JISでは作業内容ごとに推奨照度が示されており、事務作業と倉庫の通路では必要な水準が異なります。既存の蛍光灯と同じワット数の製品を選ぶのではなく、現状の照度を測ったうえで必要な全光束を決めるほうが確実です。
Step2:配光特性と設置高さを確認する
同じルーメンでも、光が広がる角度によって床面の明るさは変わります。配光角が狭い製品は直下が明るい反面、灯具間に暗い部分が出やすくなります。天井高のある工場では、配光の設計を誤ると灯数を増やす羽目になり、せっかくの削減効果が薄まります。設置高さと作業面の位置をセットで検討してください。
Step3:工事方式と資格要件を整理する
既存器具の安定器を切り離すバイパス工事は、電気工事士の資格を要する作業にあたります。工事不要をうたう製品もありますが、既存の安定器が生き続けるため、安定器が先に寿命を迎えると不点灯になります。その際にバイパス工事をやり直すと、結果として二重のコストが発生します。工事不要タイプの不点灯対応で現場に呼ばれるケースは、実務でも繰り返し見られます。
発注前に確認したい選定チェック項目
- 現状の照度を実測し、必要な全光束(ルーメン)を数値で決める
- 天井高と作業面の位置をふまえて配光角を確認する
- 既存器具の銘板を確認し、適合可否を工事事業者に判断してもらう
- バイパス工事の要否と有資格者の手配を整理する
- カバーの減光や経年による光束低下を見込んで余裕をとる
- 調光・人感センサーで点灯時間自体を減らせる区画を洗い出す
💡 ポイント
調光機能や人感センサーを併用すると、点灯時間そのものを減らせます。通路や倉庫など常時人がいない区画では、追加の削減余地があります。
最後に注意しておきたいのが、カタログ値と実測値の差です。カタログの全光束は所定の条件下での測定値であり、実際には器具のカバーによる減光、周囲温度、埃の付着、経年による光束低下が影響します。カタログ値ぴったりで設計すると、数年後に「暗くなった」という声が出ます。メーカーを横断して製品を比較し、現場環境に合う仕様を選ぶことで、削減効果と明るさの両立がしやすくなります。
実務上は、ワット数を合わせるのではなく照度を測ってからルーメンを決めるほうが確実ですよ。後から灯数を足すと削減効果が消えます。
なお照明の更新にあわせて停電対策を検討する施設も増えています。蓄電池を含めたBCPの考え方は別記事で整理しています。
蓄電池防災とは?法人BCPで備える停電対策・容量・選び方の基本
更新計画を動かす順番
蛍光灯とLEDの電気代差は1本年間約1,875円ですが、灯数と点灯時間を掛ければ法人施設では年間数十万円規模の固定費が動きます。
- 直近の電気料金明細から電力量単価を確認し、灯数と1日の点灯時間を区画ごとに数えるところから始めてください。
- 点灯時間の長い区画を優先し、全フロア一斉ではなく段階的に更新してください。工場・倉庫100灯・年間4,800時間なら年約36.0万円が動きます。
- 直管形・環形蛍光灯は2027年12月31日で製造・輸出入が禁止されるため、ランプが切れる前に更新計画を立ててください。
よくある質問
よくある質問について:実務で直面しやすい疑問や判断に迷いやすいポイントを中心に、読者から多く寄せられる質問を観点別に整理しました。本文と併せてチェックリストとして活用してください。
蛍光灯とLEDでは、1本あたり年間どのくらい電気代が変わりますか。
40W形蛍光灯を器具全体45W、LED直管を20Wとし、年2,500時間・30円/kWhで試算すると、蛍光灯が約3,375円、LEDが約1,500円です。差額は1本あたり年間約1,875円となり、100灯なら約18.7万円の差になります。
カタログの40Wと20Wをそのまま比べてよいのでしょうか。
そのまま比べると差が小さく見えます。蛍光灯の40Wはランプ単体の値で、安定器の損失を加えると器具全体で45W前後です。LEDは器具全体の入力電力を表示する製品が多いため、比較は必ず器具全体の入力電力で揃えてください。
既存の蛍光灯器具にLEDランプをそのまま取り付けられますか。
器具の型式と製品側の対応条件によります。安定器を経由するタイプ、バイパス工事が前提のタイプ、電源内蔵で直結するタイプがあり、組み合わせを誤ると不点灯や発熱の原因になります。器具の銘板を確認し、工事事業者に適合可否を判断してもらってください。
点灯と消灯を繰り返すと電気代や寿命に影響しますか。
LEDは点灯時の突入電流による負荷が小さく、点滅の影響を受けにくい構造です。蛍光灯のように電極が消耗することもありません。人感センサーとの相性がよいのもこのためで、こまめな消灯は削減に直結します。
LED化の投資回収期間はどう計算すればよいですか。
初期費用を年間削減額で割るだけです。事務所100灯で年間削減額18.7万円、器具交換費用80万円なら約4.3年。工場100灯で年間36万円削減、初期費用100万円なら約2.8年です。点灯時間が長い施設ほど回収は早まります。
この記事を読んだ方がよく検索する質問
全フロア一斉にLED化しないと効果は出ませんか。
一斉更新は必須ではありません。点灯時間の長い区画から段階的に進めても削減効果は着実に積み上がります。倉庫の通路や24時間稼働の検査室など、時間の長い区画を先に切り替えるほうが投資効率は高くなります。
2027年の蛍光灯製造終了までに何を準備すればよいですか。
まず区画ごとの灯数と点灯時間、器具の設置年を棚卸ししてください。在庫が流通しているうちなら、予算年度に合わせて段階的な更新計画を組めます。切れてから探す状態になると、選択肢も納期も厳しくなります。
LED化に使える補助金はありますか。
省エネ設備更新を対象とした国や自治体の制度が複数あります。ただし対象要件・補助率・公募時期は年度ごとに見直され、採択も保証されません。最新情報は公式サイトで確認し、申請サポートを受けられる事業者に早めに相談すると動きやすくなります。
まず何から相談すればよいですか。
灯数、1日の点灯時間、直近の電気料金明細にある電力量単価の3つを整理してください。これだけで概算は出せます。そのうえで現地確認を受けると、既存器具の状態や配光条件を踏まえた精度の高い試算になります。
参考文献
参考情報について:本記事の信頼性を担保するため、公的統計・学術論文・業界専門媒体を中心に、複数の一次情報源を参照しました。各出典は執筆時点で確認できる最新情報に基づいています。
御社の照明、年間でいくら動く余地が残っているでしょうか。まずは1区画分の数字を出してみるところから始めてみませんか。
この記事の監修者
味生 豊
aOn株式会社 代表取締役/照明士・照明コンサルタント/第一種電気工事士・電気工事施工管理技士
建設業の電気通信分野で西日本全域250件以上の電波対策工事に従事後、2015年にエネプラ.comを立ち上げ。法人向けLED照明工事の施工管理を年間30件以上担当する。相談に応えるため照明士・照明コンサルタントを取得し、施設照明の設計を専門とする。第一種電気工事士・二級電気工事施工管理技士として官公庁工事約30件を落札、主任技術者として現場を統括した。










