法人の電気代が高い原因とは|業種別の平均・調べ方と削減策の全体像
結論からお伝えすると、法人の電気代が高くなる主な要因は、使用量そのものよりも「設備の効率」と「契約・料金単価の構造」にあります。2026年度の再エネ賦課金は1kWhあたり4.18円まで上がり、制度開始以来はじめて4円を超えました(経済産業省、2026年3月公表)。電気を多く使う事業所ほど、この単価上昇の影響は重くのしかかります。原因を一つずつ切り分ければ、打ち手は見えてきます。電気代が高いと言える判断基準から、料金の仕組み、原因の調べ方、省エネ設備による根本的な削減策までを、法人・事業所の視点で順に整理します。
📚この記事の参考文献:学術論文 2件

法人の電気代が高いと言える判断基準とは

電気代の判断基準を示す概念図

定義:電気代が高い状態とは、同業・同規模の事業所と比べて電力使用の効率が悪い相対的な状態のことです。

結論:つまり、請求額の大小ではなく、前年同月比と業界水準との比較で判断します。

  • 要点1:高いかどうかは金額の大小ではなく単位あたりの効率で見ます。
  • 要点2:前年同月・前々年同月との比較が最初の判断材料になります。
  • 要点3:同業の原単位と照らすと自社の位置が客観的に把握できます。

まず押さえておきたいのは、電気代が高いかどうかは請求額の大きさだけでは判断できないという点です。事業所の規模・業種・稼働時間によって電力使用量は大きく異なるため、月10万円が高いのか妥当なのかは、単独の金額では測れません。判断の軸になるのは、過去の自社実績との比較と、同業・同規模の水準との比較です。「やたら高い気がする」という感覚を数字で確かめるところから始めると、対策の優先順位が見えてきます。エネルギー負担の重さが事業活動を圧迫する構造は、海外の文献でも体系的に整理されています。

では、何を基準に高いと判断すればよいのでしょうか。最も実務的なのは、前年同月比で電力使用量(kWh)と請求額を並べる方法です。気候や稼働日数の影響を受けにくく、設備や契約の変化も捉えやすいという利点があります。あわせて確認したいのが、原単位という考え方です。原単位とは、電気使用量を床面積や売上などの基準で割って算出した、単位あたりの消費量を指します。同業の平均的な原単位と比べることで、自社が業界水準より重いのか軽いのかを客観的に把握できます。

💡 ポイント

高いかどうかを金額だけで悩むより、前年同月比と原単位の2軸で見ると、改善余地のある箇所が具体的に絞り込めます。

具体的には、前年同月と使用量がほとんど変わらないのに、請求額だけが上がっているケースがあります。この場合、原因は使い方ではなく単価側にあると考えられます。逆に、稼働内容は同じなのに使用量そのものが増えているなら、設備の老朽化や運用の変化が疑われます。電気代が高い状態かどうかは、「使用量」と「単価」のどちらが膨らんでいるかを切り分けることから判断します。この切り分けができると、打つべき対策が料金プランの見直しなのか、設備更新なのかが見えてきます。

電気代が高いかを判断する3つの観点

判断の観点確認する内容分かること
前年同月比使用量(kWh)と請求額の増減設備・運用の変化
原単位床面積あたり・売上あたりの電気代業界水準との位置
単価の内訳燃料費調整額・再エネ賦課金の推移外的要因の影響度

注意したいのは、絶対額の大きさだけで一喜一憂しないことです。電力を多く使う製造業や冷蔵設備のある事業所では、請求額が大きくても効率は良いという場合があります。反対に、小規模でも古い設備を使い続けていれば、金額は小さくても原単位は重いという状態になりがちです。金額の印象に引きずられず、効率の観点で見直すことが、的確な判断につながります。

電気代が高いと言える判断基準は、業種・規模を踏まえた相対的な比較にあります。自社の位置が見えたら、次はその料金がどのような要素で構成されているのかを理解しておくと、原因の特定がさらに進みます。業種別に原因を診断する具体的な手順については、別記事で詳しく整理しています。

電気代の内訳と仕組み|4つの構成要素を理解する

電気代の4要素を確認するチーム

定義:法人の電気代とは、基本料金・電力量料金・燃料費調整額・再エネ賦課金の4要素を合計した金額のことです。

結論:つまり、4つの要素のどれが膨らんでいるかで、有効な対策が変わります。

  • 要点1:基本料金は契約電力(使用量の最大値)で決まります。
  • 要点2:電力量料金は実際に使った電力量に応じて増えます。
  • 要点3:燃料費調整額と再エネ賦課金は外的要因で毎月・毎年変動します。

先に全体像をお伝えすると、電気代は単一の料金ではなく、性質の異なる4つの要素の合計で成り立っています。どの要素が負担を押し上げているかが分かれば、見直すべき場所がはっきりします。逆に内訳を知らないまま「高い」と感じていると、効果の薄い対策に時間を割いてしまいかねません。まずは請求のしくみを分解して理解しておくことが、削減の第一歩です。

第一の要素が基本料金です。高圧で受電する法人の場合、基本料金は契約電力に単価を掛けて算出されます。契約電力は、多くの場合、過去1年間で記録した最大需要電力(デマンド)をもとに決まります。つまり、一瞬でも大きな電力を使うとその値が契約電力に反映され、毎月の固定費として効いてくる仕組みです。第二の要素が電力量料金で、実際に使った電力量(kWh)に応じて変動します。

第三の要素が燃料費調整額です。発電に使う原油・LNG・石炭などの燃料価格の変動を電気料金へ反映するもので、燃料価格の動きはおおむね3〜5か月後に料金へ織り込まれます。第四の要素が再エネ賦課金で、再生可能エネルギーの買取費用を電気の利用者全員で負担する仕組みです。経済産業省の発表によると、2026年度の単価は4.18円/kWhで、前年度の3.98円から上昇し、過去最高を更新しました。この2つは事業所側の努力では下げにくい外的要因です。

電気代を構成する主要な数値

4要素
電気代の構成
4.18円
2026年度 再エネ賦課金/kWh
3〜5か月
燃料費調整額の反映タイミング
過去1年
契約電力の参照期間

📝 補足

毎月届く検針票には、契約電力・使用量・燃料費調整額・再エネ賦課金が項目ごとに記載されています。まずは手元の検針票で内訳を確認してみてください。

具体的には、月10万円の電気代のうち、再エネ賦課金や燃料費調整額が占める割合は、使用量が多い事業所ほど大きくなります。使用量を変えなくても単価要素が上がれば請求額は増えるため、内訳を分けて見ることが原因特定の前提です。たとえば、使用量が横ばいなのに請求額だけ上昇している場合は、燃料費調整額や賦課金の影響を疑うのが妥当です。

このように4要素を切り分けて把握しておくと、削減策の方向性が定まります。固定費寄りの基本料金は契約の見直しで、電力量料金は省エネ設備で、外的要因はエネルギー消費量そのものの圧縮で対応する、という整理ができるためです。請求書の具体的な読み解き方は、別記事でも解説しています。

電気代が高くなる主な原因|使用量・古い設備・契約のズレ

電気代が高い原因をデータ分析

定義:電気代が高くなる主な原因とは、使用量の増加・設備の老朽化・契約プランの不一致の3つです。

結論:つまり、急に高くなった場合はこの3点と単価要因を順に確認します。

  • 要点1:稼働や人員の増加で電力使用量が増えると請求額が上がります。
  • 要点2:古い照明・空調は同じ働きでも多くの電力を消費します。
  • 要点3:契約電力やプランが実態と合っていないと固定費が無駄に膨らみます。

原因を特定するゴールは、「使用量・設備・契約」のどこに無駄が潜んでいるかを見極めることです。電気代が高くなる背景は一つとは限らず、複数が重なっていることも珍しくありません。ここでは、現場で見かけることの多い順に、3つの原因を手順立てて確認していきます。なお「電気代が急に高くなった」という相談では、この3点に加えて前章の単価要因が絡んでいる場合が多く見られます。

最初に確認したいのが、電力使用量の増加です。従業員数や稼働時間が増えれば、当然ながら使用量も増えます。設備を増設した、夜間稼働を始めた、といった変化が請求額に直結している場合があります。次に確認したいのが、設備の老朽化です。古い蛍光灯や旧式の業務用エアコンは、新しい高効率機と比べて同じ明るさ・同じ温度を保つのに多くの電力を必要とします。年数を経た設備ほど、知らないうちに電気代を押し上げている可能性があります。

最後に見落とされやすいのが、契約プランの不一致です。事業の拡大や縮小で電力の使い方が変わっているのに、契約電力や料金メニューが当初のままになっているケースは少なくありません。実態より大きな契約電力のままだと、使っていない容量にも基本料金を払い続けることになります。

電気代を押し上げる3つの主因

使用量の増加

従業員数・稼働時間・設備増設で電力使用量が増えると請求額が上がります。

設備の老朽化

古い蛍光灯や旧式空調は同じ働きでも多くの電力を消費し、固定費を押し上げます。

契約プランの不一致

実態より大きな契約電力のままだと、使っていない容量にも基本料金を払い続けます。

⚠️ 注意

契約電力は過去のデマンド値で決まるため、一度きりのピークが長く固定費に影響します。設備増設の前後は契約内容の確認をおすすめします。

具体的には、空調を入れ替えていないオフィスで、夏場だけ突出して請求額が跳ね上がるケースがあります。これは老朽化した空調の効率低下と、ピーク時のデマンド上昇が重なった結果と考えられます。原因は単独ではなく、使用量・設備・契約が絡み合って電気代を押し上げていることが多いと言えます。だからこそ、一つの対策に飛びつく前に、全体を切り分ける作業が欠かせません。

3つの原因を整理できれば、優先順位が見えてきます。高圧受電の事業所では、省エネ診断の前にどこを確認すべきかをまとめた記事も用意しています。原因の見当をつける参考にしてください。

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設備別に見る消費電力|照明と業務用エアコンの比重

照明と空調の点検作業シーン

定義:事業所の消費電力とは、空調と照明が大きな比重を占める構造のことです。

結論:つまり、削減効果を狙うなら空調と照明から着手するのが合理的です。

  • 要点1:オフィスの消費電力は空調と照明で多くを占めます。
  • 要点2:業務部門全体でも動力・照明用の比率が高い水準にあります。
  • 要点3:比重の大きい設備から手を付けると改善効果が見えやすくなります。

どの設備に手を付けるべきかと問われれば、答えは比重の大きい設備からです。限られた予算と手間を効果に結び付けるには、消費電力の内訳を知ることが近道です。事業所の電力は多くの設備に分散しているように見えて、実際には特定の用途に集中しています。その構造を押さえておくと、削減策の優先順位を迷わず決められます。日本における家電・設備の電力消費構造は、長期的な産業史の観点からも研究されています。

資源エネルギー庁の推計によると、一般的なオフィスビルの夏季ピーク時には、空調が約48%照明が約24%を占めるとされています。両者を合わせると消費電力の7割前後に達する計算です。さらに、エネルギー白書2022(資源エネルギー庁)では、業務部門全体の用途別エネルギー消費のうち、動力・照明用の割合が2020年度で46%に達したと示されています。照明と空調が事業所の電力の中心にあることが、公的データからも読み取れます。

オフィスビル夏季ピーク時の消費電力比率

約48%
空調
約24%
照明
約28%
OA機器等その他
46%
業務部門の動力・照明用比率(2020年度)

(出典:資源エネルギー庁推計/一般的なオフィスビルの夏季ピーク時の用途別電力消費比率、エネルギー白書2022)

💡 ポイント

消費電力の比重が大きい空調と照明から着手すると、投じた手間に対して削減効果が見えやすくなります。

西日本全域で250件以上の施工管理に携わってきた中で見えてきたのは、業種や建物用途によって設備構成が大きく異なるという点です。たとえば工場では生産設備の動力が大きな比重を占め、店舗では冷蔵・冷凍設備が加わります。自社の電力がどの設備に集中しているかを把握することが、削減策の優先順位を決める出発点になります。カタログ上の数値だけでは判断できず、現場ごとの実態を見る視点が欠かせません。

注意したいのは、比率はあくまで一般的な目安であり、稼働時間や立地で変わる点です。それでも、空調と照明が削減の主戦場になりやすいという傾向は、多くの事業所に共通します。設備別の優先度については、オフィス向け・工場向けにそれぞれ整理した記事も参考にできます。

オフィスの照明と空調の改善優先度については、こちらで詳しく解説しています。

工場でのLED化と空調改善の進め方は、別記事でまとめています。

電気料金の値上げが続く背景

電気料金値上げ要因の構造図

定義:電気料金の値上げとは、燃料価格の高騰・円安・再エネ賦課金の上昇が重なって単価が上がる現象です。

結論:つまり、何もしていなくても単価要因だけで電気代は上がり得ます。

  • 要点1:発電燃料の価格上昇が燃料費調整額を押し上げます。
  • 要点2:円安は輸入燃料の調達コストを増やします。
  • 要点3:再エネ賦課金は年々上昇し2026年度は過去最高となりました。

ここで多くの担当者が抱くのが、「何もしていないのに電気代が高い」という疑問です。先に答えをお伝えすると、近年の値上げの多くは、事業所内の使い方ではなく外的な単価要因によるものです。使用量が変わらなくても、料金単価の上昇分だけ請求額は増えていきます。背景を理解しておくと、自社で打てる対策とそうでない部分を冷静に切り分けられます。

背景の一つが、発電に使う燃料価格の高騰です。原油・LNG・石炭といった輸入燃料の価格は世界情勢に左右され、その変動は燃料費調整額として電気料金に反映されます。さらに円安が進むと、同じ量の燃料を輸入するためにより多くの円が必要になり、調達コストが上振れします。燃料価格と為替の双方が、電気料金の押し上げ要因になっているわけです。

もう一つが、再エネ賦課金の継続的な上昇です。経済産業省の発表によると、2026年度の単価は4.18円/kWhで、制度開始以来はじめて4円を超えました。賦課金は電気の使用量に応じて一律に課されるため、電力を多く使う事業所ほど負担の増加が大きくなります。これらは事業所側の節電努力では下げにくい構造的な要因です。

再エネ賦課金の単価推移

2024年度
単価が一旦下がるも上昇基調に転じる
2025年度
3.98円/kWh まで上昇
2026年度
4.18円/kWh で過去最高、制度開始以来はじめて4円超え

🔴 重要

燃料費調整額と再エネ賦課金は外的要因で決まります。単価を直接下げられない以上、電力の使用量そのものを減らすことが、負担軽減の本筋になります。

具体的には、燃料価格の上昇は3〜5か月後に料金へ反映されるため、電力需要が高まる夏場に高い燃料費調整額が重なると、負担感が一段と増す傾向があります。値上げの背景が外的要因である以上、根本的な対策は使用量を抑える省エネにあると言えます。単価を待つのではなく、自社で動かせる使用量に目を向けることが現実的です。

とりわけ夏場の空調コストは、値上げ局面で負担を押し上げやすい部分です。空調コスト削減の急所については、別記事で具体的に整理しています。

電気代が高い原因の調べ方|検針票と使用量データの確認

検針票確認のチェックリスト

定義:原因の調べ方とは、検針票と使用量データを時系列で確認していく手順のことです。

結論:つまり、まず検針票を読み、次に使用量の推移を追い、異常があれば専門家に相談します。

  • 要点1:検針票で契約電力・使用量・単価要素を確認します。
  • 要点2:数か月分の使用量推移を並べて変化点を探します。
  • 要点3:不自然な増加は漏電などの可能性があり専門家への相談が必要です。

調べ方のゴールは、「いつ・どこで・何が変わったか」を数字で突き止めることです。感覚で「高い」と判断する段階から、データで原因を絞り込む段階へ進むための手順を、3つのステップで整理します。特別な機器がなくても、手元の検針票と過去の請求データがあれば始められます。

電気代が高い原因を突き止める3ステップ

  1. 検針票の確認
    契約電力・使用電力量(kWh)・電力量料金・燃料費調整額・再エネ賦課金の項目をチェックし、どこが大きいか前月比でどこが増えたかを把握する。
  2. 使用量の推移分析
    直近数か月、できれば1年分の使用量を時系列で並べ、季節要因か特定月から増えた構造的変化かを判別する。
  3. 異常値が出た場合の対応
    稼働状況が変わっていないのに使用量が不自然に増えている場合は漏電などの可能性を疑い、有資格者である専門家に点検を依頼する。

第一のステップは、検針票の確認です。検針票には、契約電力・使用電力量(kWh)・電力量料金・燃料費調整額・再エネ賦課金が項目ごとに記載されています。どの項目が大きいのか、前月と比べてどこが増えたのかを見るだけでも、原因の方向性がつかめます。第二のステップは、使用量の推移分析です。直近数か月、できれば1年分の使用量を時系列で並べると、季節要因なのか、特定の月から増えた構造的な変化なのかが判別しやすくなります。

第三のステップは、異常値が出た場合の対応です。稼働状況が変わっていないのに使用量が不自然に増えている場合、漏電などの設備トラブルが隠れている可能性があります。漏電の調査や対応は電気工事士の資格が必要な領域にあたるため、自己判断で対処せず、専門家に相談してください。

⚠️ 注意

原因不明の急な使用量増加は、漏電など安全に関わる場合があります。電気設備の点検は有資格者に依頼し、自分で配線に触れないでください。

具体的には、使用量を月別に並べたところ、特定の月から段階的に増えていた、という発見はよくあります。原因の特定は、検針票を読み、使用量の推移を追い、異常があれば専門家につなぐという順序で進めると確実です。このプロセスを踏むことで、思い込みではなく事実に基づいた対策に移れます。データの確認は、削減策を選ぶための土台です。

原因の見当がついたら、次は具体的な削減の進め方です。中小法人がコスト削減を実践していく手順は、別記事で段階的に解説しています。

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電気代を抑える削減策|省エネ設備とプラン見直し

省エネ設備とプラン見直しの俯瞰図

定義:電気代の削減策とは、省エネ設備の導入と契約・料金プランの見直しを組み合わせる取り組みです。

結論:つまり、効果が読みやすい施策から段階的に進めるのが現実的です。

  • 要点1:LED照明への切り替えは比重の大きい照明を効率化します。
  • 要点2:高効率空調への更新は最も大きな用途に効きます。
  • 要点3:契約プランの見直しは固定費の無駄を抑えます。

では、何から手を付けるのが効果的なのでしょうか。先に方向性をお伝えすると、削減策は「設備の効率化」と「契約の最適化」の両輪で考えると整理しやすくなります。設備側は使った分の電力量料金を、契約側は固定費にあたる基本料金を抑える役割です。どちらか一方ではなく、自社の状況に応じて組み合わせることが、無理のない削減につながります。

設備面でまず検討したいのが、LED照明への切り替えです。前章で見たとおり照明は消費電力の大きな比重を占めるため、効率化の効果が出やすい領域です。次に大きいのが高効率の業務用エアコンへの更新で、最大の用途である空調に直接効きます。あわせて、発電した電気を自社で使う蓄電池の活用や、ピーク需要を抑える運用も選択肢になります。設備投資の回収目安は、機器単価・電気使用量・運用条件によって変動するため、自社の前提で試算することが大切です。

主要な削減策の効果と着手のしやすさ

削減策主な効果着手のしやすさ
LED照明への切り替え照明の消費電力を効率化比較的着手しやすい
高効率空調への更新最大用途の空調に直接効く投資規模はやや大きい
蓄電池の活用ピーク抑制・自家消費用途設計が必要
契約プランの見直し基本料金の最適化すぐに検討可能

💡 ポイント

全社一斉に進める必要はありません。効果測定のしやすい一つの施策から始め、結果を見ながら広げていく進め方が現実的です。

契約面では、実態に合わないプランや契約電力の見直しが有効です。事業の規模が変わっているのに当初の契約のままなら、固定費を払い過ぎている可能性があります。削減は「一度にすべて」ではなく、効果が読みやすい施策から優先順位をつけて進めることが成果につながります。なお、省エネ設備の導入では補助金を活用できる場合がありますが、制度は年度ごとに変わるため、最新情報は公式サイトで確認することをおすすめします。

設備投資を社内で進める際は、稟議を通すための根拠資料づくりが鍵を握ります。数字の示し方は別記事でまとめています。

冬場の暖房費に課題がある場合は、暖房費削減の実践法も参考にしてください。

電気代削減を進める手順とエネプラの無料省エネ診断

省エネ診断の相談シーン

定義:電気代削減の進め方とは、現状把握から設備導入までを段階的に進める一連の流れのことです。

結論:つまり、見える化から始め、優先度の高い設備から順に着手します。

  • 要点1:最初に電気使用量を見える化して現状を把握します。
  • 要点2:比重の大きい設備から優先的に対策を検討します。
  • 要点3:設備選定から施工・補助金申請までを一本化すると進めやすくなります。

最後にお伝えしたいのは、削減は段階的に進めれば難しくないという点です。全体像が分かっても、最初の一歩でつまずく事業所は少なくありません。そこで、現状把握から導入までの流れを、無理のない順序で整理します。判断材料が揃えば、コスト削減は経営判断として進めやすくなります。

進め方の起点は、現状の見える化です。検針票と使用量データから、自社の電力がどの設備にどれだけ使われているかを把握します。次に、比重の大きい照明や空調から優先順位をつけ、効果と投資のバランスを見ながら着手範囲を決めます。設備の選定では、特定メーカーに縛られず、現場環境に合った製品を中立的に選ぶ姿勢が、最適な効果を引き出します。エネプラは、メーカー横断の商品選定力を強みに、現場ごとの最適解を提案しています。

設備の導入後も、施工品質や保守体制が長期的な効果を左右します。エネプラは全国の電気工事会社と協力体制を築き、北海道から沖縄まで対応できる施工ネットワークを整えています。また、官公庁案件で培った補助金申請のサポートを含め、情報発信から施工・保守までをワンストップで支える体制を取っています。現状把握から設備導入、補助金申請までを一本化すると、担当者の負担を抑えながら削減を進められます。

電気代削減を進めるためのチェックリスト

  • □ 直近1年分の検針票を手元に揃える
  • □ 使用量(kWh)を月別に並べて変化点を確認する
  • □ 比重の大きい照明・空調の設備年数を確認する
  • □ 契約電力が実態に合っているかを点検する
  • □ 補助金の活用可否を最新の公式サイトで確認する
  • □ 設備選定・施工・申請を一本化できる相談先を持つ

📝 補足

エネプラでは無料の省エネ診断を行っています。現状の電気使用量をもとに、どこから着手すべきかを一緒に整理するところから始められます。

具体的な進め方として、まずは自社の電気料金明細を手元に用意するところから始めてみてください。使用量と単価のどちらが負担になっているかが見えれば、次の一手は自ずと定まります。法人向けのLED省エネ施工や無料診断の依頼については、こちらで案内しています。

省エネ投資が脱炭素の取り組みにおいても近道になる理由は、別記事で解説しています。

電気代が高いと感じたら、原因を切り分け、比重の大きい設備から順に手を打つ。この流れを押さえれば、値上げ局面でも打てる手は残されています。御社の電気料金にも、まだ見直す余地は残っていないでしょうか。

押さえておきたいポイント

電気代が高い原因は使用量・設備・契約・単価に分けられ、比重の大きい空調と照明から対策するのが効率的です。

  • 高いかどうかは金額ではなく、前年同月比と原単位で判断します。
  • 電気代は基本料金・電力量料金・燃料費調整額・再エネ賦課金の4要素で構成されます。
  • 削減は効果が読みやすい施策から、優先順位をつけて段階的に進めると成果につながります。

LED照明の導入やエネルギーコストの見直しで迷ったら、照明の専門家に無料でご相談ください。現場環境に合った最適なプランをワンストップでご提案いたします。

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参考文献

参考情報について:本記事の信頼性を担保するため、公的統計・学術論文・業界専門媒体を中心に、複数の一次情報源を参照しました。各出典は執筆時点で確認できる最新情報に基づいています。

  1. 高エネルギー負担と低所得層のエネルギー手頃さ:文献レビューからの結論 (原題: High energy burden and low-income energy affordability: conclusions from a literature review)|MA Brown, A Soni, MV Lapsa, K Southworth, 2020
  2. 日本で組み立てられた電気製品と日本の消費者形成 (原題: Assembled in Japan: electrical goods and the making of the Japanese consumer)|S Partner, 2023
  3. エネルギー白書2022|資源エネルギー庁, 2022
  4. 2026年度の再生可能エネルギー賦課金単価について|経済産業省, 2026

よくある質問

よくある質問について:実務で直面しやすい疑問や判断に迷いやすいポイントを中心に、読者から多く寄せられる質問を観点別に整理しました。本文と併せてチェックリストとして活用してください。

法人の電気代が高いかどうかは何を基準に判断すればよいですか?

請求額の大小ではなく、前年同月比の使用量(kWh)と原単位(床面積・売上あたりの電気代)で判断します。同業・同規模との比較で自社の位置を客観的に把握でき、使用量側か単価側のどちらが膨らんでいるかを切り分けると対策が定まります。

電気代の内訳はどのような要素で構成されていますか?

基本料金・電力量料金・燃料費調整額・再エネ賦課金の4要素の合計です。基本料金は契約電力で決まる固定費、電力量料金は使った電力量に応じて変動、燃料費調整額と再エネ賦課金は外的要因で毎月・毎年変動します。

2026年度の再エネ賦課金はいくらですか?

経済産業省の発表によると、2026年度の単価は1kWhあたり4.18円で、前年度の3.98円から上昇し制度開始以来はじめて4円を超えました。電力を多く使う事業所ほど負担増が大きく、使用量そのものを抑える対策が本筋になります。

電気代の削減はどこから手を付けるのが効果的ですか?

消費電力の比重が大きい空調と照明から着手するのが合理的です。一般的なオフィスビルの夏季ピーク時には空調が約48%、照明が約24%を占めるとされており、高効率空調への更新やLED照明への切り替えが効果に直結しやすい領域です。

原因不明の使用量増加があった場合はどうすればよいですか?

稼働状況が変わっていないのに使用量が不自然に増えている場合、漏電などの設備トラブルが隠れている可能性があります。漏電調査は電気工事士の資格が必要なため、自己判断せず有資格者である専門家に点検を依頼してください。

この記事を読んだ方がよく検索する質問

何もしていないのに電気代が高いのはなぜですか?

燃料価格の高騰・円安・再エネ賦課金の上昇といった外的な単価要因が重なっているためです。これらは事業所側の努力では下げにくいため、自社で動かせる使用量を省エネ設備で抑える方向に目を向けることが現実的な対策になります。

省エネ投資の効果はどのくらいで回収できますか?

回収目安は機器単価・電気使用量・運用条件によって変動するため、自社の前提で試算することが大切です。比重の大きい照明や空調から優先順位をつけ、効果測定のしやすい一つの施策から始めて結果を見ながら広げる進め方が現実的です。

エネプラの無料省エネ診断では何が分かりますか?

現状の電気使用量をもとに、自社の電力がどの設備にどれだけ使われているかを見える化し、どこから着手すべきかを一緒に整理します。設備選定から施工・補助金申請までワンストップで対応するため、担当者の負担を抑えながら削減を進められます。

この記事の監修者

味生 豊

味生 豊

aOn株式会社 代表取締役

愛媛県出身。建設業で12年半の経営経験を持ち、西日本全域250件以上の施工管理実績と官公庁入札案件30件以上の落札実績を持つ。オウンドメディア「エネプラ.com」では、LED工事のワンストップ対応を軸に月間15万PV・月間10数件の問い合わせを獲得し、成約率3割以上を実現。照明士・照明コンサルタント資格保有の専門チームを率い、15年にわたりエネルギーコスト削減の提案・施工に従事。

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