
固定費を見直したいものの、どの数字から追えばよいか迷う。
そうした声はよく聞かれます。
資源エネルギー庁の省エネ性能カタログでは、60W形相当の白熱電球が54W、同じ明るさの電球形LEDランプが9Wと示されています。
1灯で約83%の差です。
ただ法人施設で必要になるのは1灯の比較ではなく、灯数と稼働時間を掛け合わせた施設全体の金額と言えます。
光源別の消費電力の目安から、施設単位での試算、投資回収年数の見積もりまでを順に整理します。
📌 この記事でわかること
- 1
電球形LEDランプの消費電力は60W形相当で約9W、40W形相当で約4〜5Wであり、直管40W形相当のLEDランプは製品により約12〜20Wです。
- 2
白熱電球54Wを同じ明るさの電球形LEDランプ9Wに替えると消費電力は約83%減り、年間2,000時間・27.85円/kWhなら1灯あたり年間約2,510円の差になります。
- 3
照明の電気代は「消費電力(W)×点灯時間(h)÷1000×電力量単価(円/kWh)」で計算し、施設全体では区画ごとに灯数と稼働時間を分けて積み上げます。
- 4
LED化の初期費用には器具本体のほか電気工事費、既存器具の撤去処分費、高所作業費が含まれ、これらを含めずに投資回収年数を計算すると実態とずれます。
- 5
LED化後も調光制御・人感センサー・昼光利用を組み合わせれば消費電力をさらに減らせますが、人感センサーは消灯中も待機電力を使うため常時在室の場所には向きません。
📑 この記事の内容
1. 消費電力の数字を押さえる
2. 施設単位で試算する
3. 導入後の運用と判断
LEDの消費電力の目安|光源の種類別に見るワット数🔗

定義:LEDの消費電力とは、LED照明が点灯中に使う電力の大きさをワット(W)で表した値のことです。
結論:電球形LEDランプは60W形相当で約9W、直管40W形相当のLEDランプは製品により約12〜20Wです。
- 要点1:白熱電球の「◯W形相当」という表記は明るさの目安であり、LEDランプの実際の消費電力とは一致しません。
- 要点2:LED照明の明るさはワットではなくルーメン(lm)で表され、器具の選定はルーメンを基準に行います。
- 要点3:器具の定格消費電力には電源回路の損失が含まれるため、LED素子だけの値より大きくなります。
まず確認したいのは、LEDの消費電力とは、LED照明が点灯中に使う電力の大きさをワット(W)で表した値であり、明るさを示す数字ではないという点です。白熱電球の時代は「60Wなら明るい」という感覚が通用しました。LEDでは事情が変わります。同じ810ルーメン前後の明るさを出すのに、白熱電球は54W、電球形LEDランプは9W前後しか使いません。カタログの「60W形相当」は明るさの置き換え表記であり、消費電力の数字ではないわけです。
検索でよく見られる「40WのLEDの消費電力は」という疑問には、二通りの答えがあります。電球形の40W形相当なら約4〜5W。一方、オフィスや工場で使われる直管40W形のLEDランプは、製品によって約12〜20Wと幅があります。同じ「40W」でも指しているものが違います。
💡 ポイント
製品を比べるときは、ワット数ではなくルーメン(全光束)を先に揃えてください。ワット数だけで選ぶと、明るさの足りない器具を選んでしまいます。
光源の種類別|明るさと消費電力の目安
| 光源の種類 | 明るさの目安 | 消費電力の目安 |
|---|---|---|
| 白熱電球(60W形) | 約810lm | 54W |
| 電球形蛍光ランプ(60W形相当) | 約810lm | 12W前後 |
| 電球形LEDランプ(60W形相当) | 約810lm | 9W前後 |
| 電球形LEDランプ(40W形相当) | 約485lm | 4〜5W |
| 直管形LEDランプ(40W形相当) | 2,000〜4,000lm | 12〜20W |
| LEDベースライト(40形2灯相当) | 4,000〜6,000lm | 25〜50W |
もうひとつ押さえたいのが、カタログ値と実際の消費電力の関係です。器具に記載される定格消費電力には、LED素子が使う電力に加えて電源回路(LEDドライバ)で失われる分が含まれます。素子の効率だけを比べても、器具として実際に使う電力は判断できません。施設全体の試算では器具単位の定格値を拾うほうが実態に近づきます。物販店舗の実消費電力を調べた研究でも、照明と機器の消費電力が用途ごとに幅を持つことが報告されています。
(出典:非住宅建築物の省エネルギー基準における標準室使用条件の検証(第3報)物販店舗の照明・機器消費電力、在室人数の実態調査|大平 達也, 2024)
西日本の現場を250件以上受け持ってきた経験から言えるのは、同じ「40W形2灯相当」でも天井高や什器の配置で必要な灯数が変わるという点です。カタログスペックだけで台数を決めると、明るさが足りずに追加工事が発生します。光源ごとの目安を押さえたところで、次は従来光源との差額を見ていきます。
LED省エネの仕組みと効果とは?法人の電気代削減と導入判断の方法
ポイントは、ワット数ではなくルーメンで揃えて比べることですね。「40W形相当」は明るさの表記なので、消費電力の数字と混同しないようにしてください。
白熱電球・蛍光灯とLEDの消費電力と電気代を比較する🔗

定義:光源別の電気代比較とは、明るさを揃えた条件で年間の電力量料金を試算し、光源ごとの差額を求める作業のことです。
結論:白熱電球を同等の明るさの電球形LEDランプに交換すると、消費電力は約83%減ります。
- 要点1:資源エネルギー庁の資料では、54Wの白熱電球を9WのLEDに替えると年間2,000時間の点灯で90kWh減ると示されています。
- 要点2:光源を比較するときは、明るさ・年間点灯時間・電力量単価の3条件を揃える必要があります。
- 要点3:電力量単価には燃料費調整額と再エネ賦課金が加わるため、契約単価だけの試算は実態より低く出ます。
比較で差がつくのは光源の性能そのものより、前提条件の揃え方です。光源別の電気代比較とは、明るさを揃えた条件で年間の電力量料金を試算し、光源ごとの差額を求める作業のことです。同じLED化でも点灯時間の置き方ひとつで削減額は倍近く変わります。試算に入る前に、次の項目を確認してください。
試算前に揃えたい4つの前提条件
- 明るさ(ルーメン)を揃えたうえで消費電力を比較します
- 年間の点灯時間は実際の稼働実態から置きます
- 電力量単価は自社の請求書から拾います
- 燃料費調整額と再エネ賦課金を含めた電力量単価を使います
実際の数字を置いてみます。低圧電灯の全国平均単価27.85円/kWh(一般社団法人エネルギー情報センター集計・2026年5月時点)で年間2,000時間点灯した場合、1灯あたりの年間電気代は白熱電球が108kWhで約3,010円になります。電球形蛍光ランプは24kWhで約670円、電球形LEDランプは18kWhで約500円です。白熱電球からLEDへの置き換えは1灯あたり年間約2,510円の差となり、100灯あれば25万円規模まで積み上がります。
白熱電球からLEDへ替えた場合の数字(年間2,000時間・27.85円/kWh)
蛍光灯からの置き換えは差が小さく見えますが、こちらも無視できる幅ではありません。長崎大学の調査研究では、蛍光灯からLEDへ切り替えた場合に照明用電力消費量で38〜44%の省エネ効果が試算されたと報告されています。
⚠️ 注意
比較記事の試算単価をそのまま自社に当てはめると実態とずれます。契約区分が高圧か低圧かで、単価は5円以上変わります。
もう一点、蛍光灯との比較で見落とされやすいのが安定器の消費電力です。従来の蛍光灯器具はランプ本体の定格に加えて安定器が数W分を消費します。カタログの「40W」だけを拾うと、実際の消費電力を低く見積もることになります。
意外と見落としがちですが、蛍光灯器具は安定器でも数W使っています。ランプの定格だけで比べると削減額を小さく見積もることになるんです。
電気代の計算方法とオフィス・施設単位での試算手順🔗
定義:照明の電気代の計算式とは、消費電力(W)×点灯時間×日数÷1000×電力量単価で年間コストを求める式のことです。
結論:施設単位の試算は、灯数×1灯あたり消費電力×年間稼働時間を合計してから電力量単価を掛けます。
- 要点1:電力量単価は契約区分で異なり、2026年5月時点の全国平均は高圧が22.78円/kWhです。
- 要点2:燃料費調整額は毎月改定されるため、試算に使う電力量単価は直近の請求書から確認します。
- 要点3:照明の年間点灯時間は業種差が大きく、同じ灯数でも年間コストに数倍の開きが出ます。
試算の出発点はひとつの式に集約されます。照明の電気代の計算式とは、消費電力(W)×点灯時間(h)÷1000×電力量単価(円/kWh)で年間コストを求める式のことです。これだけです。20Wの直管LEDランプを1日12時間、年間365日点灯した場合は20×12×365÷1000で年間87.6kWh。27.85円/kWhなら年間およそ2,440円、1日あたり約6.7円になります。つけっぱなしの電気代を気にされる方は多いのですが、LED1灯あたりはこの水準です。
施設単位で年間電気代を積み上げる手順
- 区画を分ける
事務所・倉庫・通路・外構など、稼働時間の異なるエリアごとに分けます。 - 区画ごとに灯数を数える
器具の種類(ベースライト・直管・電球形)別に台数を拾います。 - 器具の定格消費電力を確認する
素子の値ではなく、器具に記載された定格消費電力を使います。 - 区画ごとの年間稼働時間を置く
実際の点灯実態から時間を置き、平均値で丸めないようにします。 - kWhを合計して単価を掛ける
灯数×W×時間÷1000で区画ごとのkWhを出し、合計に請求書の単価を掛けます。
施設全体に広げるときは、区画ごとに分けて積み上げます。事務所エリアはベースライトが何台で年間何時間、倉庫は何台で何時間、という数え方です。全灯数に平均稼働時間を掛ける方法では、稼働時間の長い区画の影響が薄まって削減額を過小評価します。事務所ビルの節電対策を扱った研究でも、区画や時間帯を分けた分析がエネルギー削減量の把握に有効だと示されています。
迷いやすいのが電力量単価の置き方です。契約区分によって水準が違います。
| 契約区分 | 対象の目安 | 平均単価(2026年5月) |
|---|---|---|
| 特別高圧 | 契約電力2,000kW以上 | 17.45円/kWh |
| 高圧 | 契約電力50〜2,000kW | 22.78円/kWh |
| 電灯(低圧) | 契約電力50kW未満・単相 | 27.85円/kWh |
| 動力(低圧) | 契約電力50kW未満・三相 | 34.42円/kWh |
いずれも一般社団法人エネルギー情報センターが公表する全国平均で、消費税および再エネ賦課金は含まれていません。実務ではこの平均値で当たりをつけたうえで、自社の請求書に記載された単価に置き換えてください。
🔴 重要
電力量単価は固定ではありません。試算した回収年数は単価が動けば前後します。判断材料として使いつつ、幅を持って見てください。
単価が動く実例として、2026年9月分(8月使用分)の燃料費調整があります。政府による電気・ガス料金支援の再開を受けて大手電力10社のうち8社が値下げとなる一方、関西電力と九州電力は上限価格を超え、北海道電力と沖縄電力は燃料価格の上昇が支援効果を上回って値上げになりました。同じ月でもエリアで方向が分かれます。試算に使う単価は今月の請求書の数字と割り切るほうが、判断を誤りにくくなります。
実務上は、平均単価で当たりをつけたら必ず直近の請求書の数字に置き換えてみてください。燃料費調整は毎月動くので、そこがずれると回収年数の見立ても変わります。
LED照明の導入やエネルギーコストの見直しで迷ったら、照明の専門家に無料でご相談
初期費用とランニングコストのトータル比較と投資回収年数の考え方🔗
定義:投資回収年数とは、LED化の初期費用を年間の削減額で割って求める、費用を取り戻すまでの期間のことです。
結論:LED化の初期費用には器具本体だけでなく、電気工事費・既存器具の撤去処分費・高所作業費が含まれます。
- 要点1:投資回収年数は機器単価・電気使用量・運用条件で変動するため、一律の年数では判断できません。
- 要点2:ランプ寿命の長さは電気代だけでなく、交換作業の人件費と高所作業の手配コストも減らします。
- 要点3:一般照明用の蛍光ランプは製造・輸出入が段階的に禁止され、2028年1月1日以降はすべて禁止となります。
投資回収年数とは、LED化の初期費用を年間の削減額で割って求める、費用を取り戻すまでの期間のことです。計算そのものは単純で、初期費用を年間削減額で割るだけです。つまずくのは初期費用の側で、器具の本体価格しか見ていない例が目立ちます。実際に見積もりへ載る費目を並べると次のようになります。
初期費用に含まれる4つの費目
器具・ランプ本体
LED器具や直管LEDランプの購入費。器具交換かランプ交換かで金額が大きく変わります。
電気工事費
配線や安定器のバイパス工事。工事不要タイプでも既存安定器の劣化リスクは残ります。
撤去・処分費
既存器具の取り外しと廃棄。水銀を含む蛍光ランプは分別処理が必要になります。
高所作業費
足場の設置や高所作業車の手配。高天井の工場・倉庫では本体費用を上回る場合があります。
ランニング側では、電気代の削減額に交換作業のコストを足して考えます。蛍光灯の寿命が1万時間台であるのに対し、LED器具は4万時間前後を想定した製品が中心です。高天井の倉庫では、ランプ代よりも高所作業車の手配費のほうが1回あたりの負担として大きくなります。この削減分を分母に入れていないと、実際より長い年数が出ます。
工事不要タイプで不点灯が続いた現場を、これまで何度か引き継いできました。初期費用の安さだけで選んだ結果、既存安定器の寿命が先に来て短期間で不点灯となり、バイパス工事のやり直しで二重のコストが発生した例です。回収年数を短く見せる選択が、結果的に総額を押し上げることがあります。
💡 ポイント
回収年数は前提条件とセットで扱ってください。機器単価・電気使用量・稼働条件のどれかが変われば、年数も動きます。
更新計画の前提として押さえたいのが、蛍光ランプの規制です。水俣条約に基づき、一般照明用の蛍光ランプは種類ごとに段階的に製造・輸出入が禁止され、日本照明工業会によれば2028年1月1日以降はすべて禁止となります。
蛍光ランプ規制と更新判断のタイムライン
規制開始後も継続使用や在庫の売買は可能ですが、在庫が細るほど調達単価は上がりやすく、切れてから動くと選択肢が狭まる点にも注意が必要です。省エネ改修の効果を事後に検証した研究でも、計画段階での前提整理が成果を左右すると報告されています。
LED照明を対象とする補助金は、国・自治体を問わず複数あります。ただし補助率や対象要件は制度ごとに異なり、公募期間も限られます。回収年数への影響は小さくないため、検討時点の公募要領で条件を確認してください。
よく聞かれるんですが、回収年数は「何年で回収できるか」を一律に答えられるものではないと思います。前提条件を書き添えた見積もりを取るのが安全です。
LEDの消費電力をさらに抑える運用の工夫🔗
定義:照明の運用改善とは、器具の交換後に制御や点灯範囲を調整して消費電力をさらに減らす取り組みのことです。
結論:調光制御・人感センサー・昼光利用を組み合わせると、LED化した後でも電力量をさらに減らせます。
- 要点1:調光制御は必要な照度まで出力を絞る仕組みで、明るさを確保しやすい窓際ほど削減幅が大きくなります。
- 要点2:人感センサーは在室時間の短い倉庫・階段室・トイレで効果が出やすい制御方式です。
- 要点3:人感センサー付き器具は消灯中も待機電力を消費するため、常時人がいる場所には向きません。
器具の交換で削減が終わるわけではありません。照明の運用改善とは、器具の交換後に制御や点灯範囲を調整して消費電力をさらに減らす取り組みのことです。制御を加えると、同じ器具のまま消費電力をさらに落とせます。着手しやすい順に並べると次のとおりです。
LED化後に着手しやすい制御の順序
- ゾーンを分けて調光する
窓際と室内側で回路を分け、昼光が入る区画を調光の対象にします。 - 人感センサーを設置する
倉庫・階段室・トイレなど在室時間の短い区画に入れると効果が出やすくなります。 - タイムスケジュール制御に載せる
始業前・休憩時間・清掃時間帯の点灯範囲をあらかじめ決めておきます。 - 照度設計を見直す
用途に合わせて必要照度を確認し、過剰な明るさを避けます。
昼光を活かした調光の効果は、建物の稼働時間と窓の条件で変わります。日照・日射制御技術のエネルギー性能を評価した研究では、稼働時間を8時から18時と設定したうえで、年間の調光率から照明消費電力量を月別に算出する手法が示されました。削減幅を見積もるには、窓面の条件と稼働時間を実測に近い形で置くことが前提になります。
(出典:光と熱の詳細連携計算に基づく日照・日射制御技術のエネルギー性能評価手法|大木知佳子, 2021)
⚠️ 注意
光色(色温度)を変えても消費電力はほとんど変わりません。同じ全光束なら電球色でも昼白色でも差はわずかで、削減に効くのは照度設計と制御です。
電力の使い方を照明だけで完結させない発想も有効です。ピークの平準化や停電時の備えまで含めて設備を組み立てると、投資の意味合いが変わります。
ひとつだけ言うと、人感センサーは消灯中も待機電力を使います。常時人がいる事務所には向かず、倉庫や階段室で効いてくる制御だと感じています。
LEDが最適とは限らないケースと導入前の確認事項🔗
定義:LEDが不向きなケースとは、点灯時間や設置環境の条件から削減効果や耐久性が見込みにくい場面のことです。
結論:点灯時間が極端に短い用途や高温・振動のある環境では、LED化の効果と寿命を個別に確認する必要があります。
- 要点1:LEDは熱に弱く、高温になる場所では想定より早く光束が低下します。
- 要点2:既存の調光器や安定器との組み合わせによっては、ちらつきや不点灯が起こります。
- 要点3:演色性が求められる売場や検査工程では、消費電力より光の質を優先して器具を選びます。
LED化が常に最適解になるとは限りません。LEDが不向きなケースとは、点灯時間や設置環境の条件から削減効果や耐久性が見込みにくい場面のことです。判断が分かれる条件を整理しておくと、導入後の手戻りを減らせます。
導入前に確認したい条件と想定される問題
| 確認したい条件 | 想定される問題 | 事前に確認すること |
|---|---|---|
| 点灯時間が1日1時間未満 | 削減額が小さく回収年数が長期化する | 年間点灯時間と削減額の試算 |
| 高温・多湿・粉じんの環境 | 光束の低下、寿命の短縮 | 器具の使用温度範囲とIP等級 |
| 既存の調光器を流用する | ちらつき、調光範囲の制限 | 調光方式の適合表 |
| 高い演色性が必要な売場 | 商品の色が実物と異なって見える | 演色評価数(Ra)と色温度 |
考慮したいのが空調との関係です。照明器具は発熱体でもあるため、LED化によって室内の熱負荷が減り、空調の運転状態にも影響します。大型小売店舗の省エネルギー化を扱った研究でも、従来型照明からLEDへの置き換えが建物内部の負荷を変化させる点が指摘されました。照明単体の削減額だけでなく、空調を含めた建物全体で効果を見るほうが実態に近づきます。
📝 補足
建築物省エネ法の改正により、2025年4月以降は原則としてすべての新築・増改築で省エネ基準への適合が義務づけられています。改修計画がある施設では設計者と早めに条件を確認してください。
蛍光ランプの生産終了が広く知られるようになってから、まだ使える段階で計画的にLED化を進めたいという相談が増えています。全フロアを一度に切り替える必要はありません。稼働時間の長い区画から順に更新すれば、投資額を抑えながら効果を先に取れます。判断材料が揃わないうちは、現状の灯数と稼働時間を数えるところから始めるやり方が現実的です。
更新の優先順位を決める順序
LED照明の削減額は灯数と稼働時間で決まります。自社の請求書の単価で試算し、稼働時間の長い区画から順に更新する進め方が現実的です。
- 電力量単価は契約区分で異なり全国平均は電灯(低圧)が27.85円/kWhです。まず直近の請求書から自社の単価を拾って試算してください。
- 事務所・倉庫・通路など稼働時間の異なる区画に分けて灯数を数え、点灯時間の長い区画からLED化する順番を決めてください。
- 見積もりは器具本体だけでなく工事費・撤去処分費・高所作業費を含めて取り、前提条件を書き添えたうえで回収年数を確認してください。
よくある質問
よくある質問について:実務で直面しやすい疑問や判断に迷いやすいポイントを中心に、読者から多く寄せられる質問を観点別に整理しました。本文と併せてチェックリストとして活用してください。
40WのLEDランプの消費電力はどれくらいですか?
指しているものによって二通りに分かれます。電球形の40W形相当なら実際の消費電力は約4〜5Wです。一方、オフィスや工場で使う直管40W形のLEDランプは製品により約12〜20Wと幅があります。「40W形相当」は明るさの置き換え表記であり、消費電力の値ではありません。
LEDを1日つけっぱなしにすると電気代はいくらですか?
20Wの直管LEDランプを1日12時間、年間365日点灯した場合は年間87.6kWhとなり、27.85円/kWhなら年間約2,440円、1日あたり約6.7円です。灯数が増えれば比例して増えるため、施設全体では灯数×稼働時間で積み上げて計算します。
蛍光灯からLEDに替えても効果は小さいのでしょうか?
1灯あたりの差額は白熱電球からの置き換えより小さいものの、無視できる幅ではありません。長崎大学の調査研究では、蛍光灯からLEDへ切り替えた場合に照明用電力消費量で38〜44%の省エネ効果が試算されたと報告されています。安定器の消費分も含めて比較してください。
試算に使う電力量単価は何を基準にすればよいですか?
自社の直近の請求書に記載された単価が最も実態に近い値です。2026年5月時点の全国平均は高圧が22.78円/kWh、電灯(低圧)が27.85円/kWhですが、燃料費調整額と再エネ賦課金が毎月動くため、平均値は当たりをつける用途に留めてください。
LED化の投資回収年数はどのくらいで見ればよいですか?
機器単価・電気使用量・稼働条件で変動するため一律の年数では判断できません。初期費用には器具本体だけでなく電気工事費・撤去処分費・高所作業費が含まれます。交換作業の人件費削減分も分母に入れて計算すると、実態に近い年数になります。
この記事を読んだ方がよく検索する質問
蛍光灯が使えなくなる前に、どこから更新すべきでしょうか?
稼働時間の長い区画から順に着手するのが現実的です。全フロアを一度に切り替える必要はなく、削減効果の大きい場所を先に更新すれば投資額を抑えながら効果を先取りできます。まずは現状の灯数と稼働時間を数えるところから始めてください。
工事不要タイプのLEDランプを選んでも問題ないですか?
初期費用は抑えられますが、既存の安定器を残す方式のため安定器の劣化リスクが残ります。安定器の寿命が先に来て不点灯となり、バイパス工事のやり直しで総額が増える例もあります。既存器具の設置年を確認したうえで判断してください。
LED化した後、さらに電気代を下げる手はありますか?
調光制御・人感センサー・タイムスケジュール制御の追加が有効です。窓際のゾーンを分けて昼光利用と組み合わせ、在室時間の短い倉庫や階段室にセンサーを入れる順序が着手しやすいでしょう。照度設計の見直しもあわせて検討してください。
LED化の相談はどのタイミングでするのが良いですか?
ランプが切れてから動くと選択肢が狭まります。蛍光ランプは2028年1月1日以降すべて製造・輸出入が禁止となり、在庫が細るほど調達単価は上がりやすくなります。現状の灯数と稼働時間が分かる段階で相談すれば、補助金の公募時期にも合わせやすくなります。
参考文献
参考情報について:本記事の信頼性を担保するため、公的統計・学術論文・業界専門媒体を中心に、複数の一次情報源を参照しました。各出典は執筆時点で確認できる最新情報に基づいています。
- 非住宅建築物の省エネルギー基準における標準室使用条件の検証(第3報)物販店舗の照明・機器消費電力、在室人数の実態調査|大平 達也, 2024
- 長崎大学の10年間におけるエネルギー消費動向と省エネルギー方策に関する調査研究|足立尚斗, 源城かほり, 大脇崇, 2018
- H-33 事務所ビルにおける節電対策とピーク電力の削減効果に関する研究:(第2報) 実建物を対象としたエネルギー削減量ケーススタディ|Seiichi TABUCHI, 2011
- 博物館におけるESCO事業を活用した省エネルギー改修と性能検証の実証的検討|Masaya NISHIKAWA, 2019
- 光と熱の詳細連携計算に基づく日照・日射制御技術のエネルギー性能評価手法|大木知佳子, 2021
- 大型小売店舗における空調の省エネルギー化に関する研究|宮岡洋一, 2017
- 自律分散型光環境制御システムの開発と制御|高本雄太, 2018
- 照明・空調協調制御手法を用いた小規模事務所建物の省エネルギー化に関する実践研究|Shigehiro ICHINOSE, 2014
- 照明設備と無線制御技術|Naoyuki Suzuki, 2026
- 自然エネルギーを活用したパッシブ型ZEBの計画と性能検証|久保 洋香, 2025
この記事の監修者
味生 豊
aOn株式会社 代表取締役/照明士・照明コンサルタント/第一種電気工事士・電気工事施工管理技士
建設業の電気通信分野で西日本全域250件以上の電波対策工事に従事後、2015年にエネプラ.comを立ち上げ。法人向けLED照明工事の施工管理を年間30件以上担当する。相談に応えるため照明士・照明コンサルタントを取得し、施設照明の設計を専門とする。第一種電気工事士・二級電気工事施工管理技士として官公庁工事約30件を落札、主任技術者として現場を統括した。











