「持続可能な社会」という言葉に代表されるように、人類が今後取り組むべき行動指針は「エコ」や「省エネルギー」へとシフトしつつあります。
そういった動きを受けて、照明分野においても従来の電球や蛍光ランプ等に置き換わって、次世代照明と呼ばれるLEDが主流になりつつあるのはご存じのとおりです。
海外ではLEDもさることながら、無電極ランプと呼ばれる照明が一般化しており、日本でも徐々に導入されてきています。
今回はこの無電極ランプの構造や基本知識を解説すると同時に、そのメリットやデメリットについても考えていきたいと思います。

無電極ランプの基本構造

日本ではあまり聞きなれないランプですが、正しくは「無電極放電ランプ」といい、いわゆる電気をランプに供給するための電極を持たないランプなのです。
まず基本的な構造を解説していきましょう。

無電極ランプの構成

高周波電流を発生させるインバータ、高周波電流を誘導させるコイル、磁界を発生させるフェライトコア、蛍光体(発光体)を塗布したガラス管から構成されています。

ランプ自体の大きさは通常の水銀ランプと同等で、扱いやすいサイズとなっています。

発光の仕組み

まずインバータから発生させた高周波電流をコイルに流し、フェライトコアに磁界を発生させます。
この磁界から生じた電磁誘導によって、ガラス管内の水銀ガスが励起され、紫外線が放出されます。やがて塗布された蛍光体に反射して発光現象が起きるのです。

発光プロセスについては蛍光ランプとよく似ていますが、無電極ランプは電極やフィラメントがないだけに劣化することがほとんどありません。

無電極ランプのメリット・デメリット

次に無電極ランプのメリット及びデメリットについて見ていきましょう。無電極ランプがなぜ日本で一般化されていないのか?理由がそこにあります。

無電極ランプのメリット

その大きなメリットは何といってもLEDをしのぐ長寿命でしょう。(LED23倍)
製品によりますが、60,000100,000時間が定格寿命とされており、交換する手間がほとんどありません。

また電気を熱としてロスしないため発光効率が高く、管球温度は100℃くらいまでしか上がりません。温暖化防止という意味合いでは最適な照明だと言えるでしょう。

LEDのような光の直進性はあまりなく、360°全面発光が可能です。蛍光ランプと同じく目に優しい効果も期待できます。

無電極ランプのデメリット

LEDの場合は構成部品(チップや基板等)の開発や入手が比較的やさしく、国内市場でもLED照明が一般化しています。
しかし無電極ランプを製造するためには電波法で定められた基準をクリアしなければならず、開発のためには一定の期間とコストが相応に掛かってきます。
そのため国内メーカーが開発に踏み切れないのです。LEDをより高効率化したほうがコストメリットがあるということですね。

また現在ではLEDのほうが経済的な点灯方式だとされていて、パナソニックも無電極ランプは製造していたものの、2017年に生産終了しています。

無電極ランプを設置する際には電気工事が必要ですし、ランプ本体と安定器を離して設置することは推奨されていません。離して設置してしまうと安定点灯しなくなる恐れがあるからです。

いっぽうランプ本体の材質がガラス製のため、輸送や設置する場合は注意が必要となります。

無電極ランプのメリットを生かした設置例

無電極ランプは家庭用など小出力の照明にはあまり適していませんが、その特性を生かした設置場所であれば、おおいにメリットが期待できます。

例えば従来まで水銀ランプが設置されていた高天井の建屋内や街路灯・公園灯など。また屋外の看板照明やサイン灯などが最適でしょうか。
その長寿命ゆえにランプに交換しなくても済むため、メンテナンスフリーで保守管理費用を抑えることが可能です。

特に街路灯やスポーツ施設等に設置された場合、強い光で幻惑されることはまずありません。また眩しくなく目に優しいという効果も期待できるのです。

まとめ

日本でまだまだ一般化ではない無電極ランプですが、その特性やメリットを生かした設置方法に特化すれば、LEDとの棲み分けも可能ではないでしょうか。
現在のところ、ほぼ海外からの輸入やOEMに頼っているのが実情ですが、新しい照明技術として認知される日も遠くはないことでしょう。

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